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  • 2022年8月1日 株情報

    2022年8月1日 株情報
    (2022年7月31日執筆)


    【カギその1 続報】インフレピークアウト数値出現の2

    ここ数か月の株情報において、余剰キャッシュの再投入タイミングを伺う機関投資家群が重視している注目指標の中でも最重視項目と分析されるのが、ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」(6月27日株情報【1-1】、及び7月19日株情報【1-1-1】参照)と、消費者物価指数(CPI)の中でもコアCPIの「前月比」動向(6月27日株情報【1-2】、及び7月19日株情報【1-2-1】参照)の2点でした。そして先日の日本時間7月29日23時、まずミシガン指数の確定値が公表されました。さっそく見ていきましょう。

    【1-1-2】ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」確定値

    ア 注目の7月確定値は2.9%(速報値2.8%)

    速報値よりも0.1%の上方修正です。よって、前月の確定値3.1%から0.2%の低下が確定しました。

    イ 今後の展望

    これまでの機関投資家の見解では、この指標の0.2%の上昇が「ゲームチェンジャー」と評されるほどのネガティブサプライズであったことから、反対に今回の0.2%の下落という数字は「逆ゲームチェンジャー」という解釈もできることになります。実際にロイターの報道では「今回の結果は、物価が長期的にさらに上昇するとの消費者の見方が定着していないことを示すものとしてFRBから前向きに受け止められそうだ」と解説されていました。つまり株価には好材料です。前回の本項目において、ダウ、ナスダック、S&P500指数の各チャートが典型的な底値反転型のパターンを示現しつつあると述べましたが、その後も続伸しているのは、こうした指標を先読みした機関投資家群が買いに転じていることを暗示させるものです。

    【本年残り5カ月の展望】

    こうなると、個人投資家最大の関心事は「株は今こそ買い時なのか? そして本当に買いならば、今からであればセクターはどこがいいのか?」という一点に集約されると言えるでしょう。ここで真っ先に思い出されるのが、調査会社ネッド・デービス・リサーチの分析です。これは、これまでの本コーナーにおいて、6月3日株情報【Ⅱ】需給動向【21】③、及び7月4日 株情報【2-10】で解説しているものです。つまり、今こそが最終第4段階(ブレドス・スラスト)のクラスター発生場面を迎えつつあるのかどうか?ということになります。これを見極めるために、本年度に執筆してきた本株情報の中から、今こそ再参照すべきと筆者が考えた各項目を再抽出して、以下に再検証していきましょう。

    再抽出した項目は、体系的に整理してみると、おおよそ以下の内容ごとに分類できると思います。

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    ア 機関投資家は、トレンドが買い転換したと考え出したのだろうか?

    イ 機関投資家の、リセッションの度合いの許容範囲はどの程度なのか?

    ウ 機関投資家の、企業業績の許容範囲はどの程度なのか?

    エ 機関投資家は、余剰キャッシュの投入タイミングをどう伺っているのだろうか?

    オ 機関投資家は、ショートポジションをどうする予定なのだろうか?

    カ そして、機関投資家の言う「秋の真の問題」の見通しはどうなりつつあるのだろうか?


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    【今日のチャート分析】

    ※近日中UP予定

  • 2022年7月19日 株情報

    2022年7月19日 株情報

    (2022年7月18日夜間執筆)

    【カギその1 続報】インフレピークアウト数値出現

    ここ数か月の株情報において最重要の注目指標に躍り出たのが、ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」(6月27日株情報【1-1】参照)と、消費者物価指数(CPI)の中でもコアCPIの「前月比」動向(6月27日株情報【1-2】参照)の2点です。これらはパウエルFRB議長をして「強く目を引く統計だった」と言わしめ、6月の75bpの利上げを決定する主因になったからです。そして今月、それら指標の新たなデータが公表されました。さっそく見ていきましょう。

    【1-1-1】ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」関連の続報

    ア これまでのまとめ

    6月27日 株情報【1-1】において詳しく解説していますが、重要なポイントを以下にまとめました。

    ア-①

    6月9日から17日に至るS&P500種株価指数の約4100ポイントから3650ポイントに至る7営業日の急落のファンダ的原因は、米ミシガン大学が6月10日に発表した「5-10年先の長期期待インフレ率」の「速報値」が3.3%だったことで、FRBがこれをインフレ急加速のシグナルと解釈する危険が高いとみなされたから。機関投資家野村証券の解説によると、この6月の速報値プラス3.3%は5月の同3.0%から上振れたので、株式市場にとって不意打ちかつ明確な悪材料となったという。なぜならこの指標はコロナ禍にあっても最大で3.1%にとどまっていたので、一部のFOMCメンバーに「インフレ率はいずれ自然に低下する」という見方をさせる重要な論拠になっていたからだ。しかしこの上振れにより、FRBはインフレを鎮静化させるために大幅利上げで景気をリセッションに追い込むのをやむなしとする悲観シナリオが勢いを増した。また、機関投資家ジェフリーズは、この3.3%という数字を「ゲームチェンジャー(状況を一変させるもの)」と表現した。

    ア-②

    ところが、実に14年ぶりの高水準となっていたこのインフレ期待の速報値3.3%が、確定値で3.1%に下方修正されてしまった。よって結局は、5-10年長期期待インフレ6月確定値3.1%という数字は、コロナ禍最大値3.1%とギリギリ同じだったことになり、「ゲームチェンジャー」という言い方は大げさだったことになるが、かといって土俵際であることに変わりはないとも言えるだろう。

    イ 注目の翌7月の速報値が2.8%に低下

    ミシガン大消費者マインド指数では、米消費者の「5-10年先の長期期待インフレ率」が7月初旬にエコノミストの予想以上に低下しました。前月の3.1%から低下して2.8%となり、昨年7月以来の低水準となりました。

    ウ 今後の展望

    これは予想外に下がった印象です。しかもまた、今後の確報値で下方修正される可能性も大いにあるわけで、現場のトレーダーとしては「こうなると迂闊には売れない」という感覚になるでしょう。また、ダウ、ナスダック、S&P500指数の各チャートも典型的な底値反転型のパターンを示現しつつあるので、6月27日株情報【1-2】で述べたように「当時に打診買い+今回CPI通過で第2次買い」というメインシナリオに現時点では修正はありません

    【1-2-1】コアCPI(変動の大きい食品とエネルギーを除いた指標)が「前月比」で低下するかどうかの続報

    ア これまでのまとめ

    6月27日 株情報【1-2】において詳しく解説していますが、重要なポイントを以下にまとめました。

    ア-①

    2001年9月米同時多発テロ以来の過去最高レベルにまで積み上がった余剰キャッシュ(6月3日 株情報【Ⅱ】需給動向【17】⑥参照)を抱えたまま様子見を続け、その再投入タイミングを伺う機関投資家の総意としては、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIが「前月比」で低下することが重要だ。なお5月分(6月発表)は前月比で0.6%の上昇だった。

    ア-②

    しかし、過去3回のインフレ持続予想を的中させて、約1年前にアメリカで高インフレが長引くことも的確に予測したブルームバーグのコラムニストであり著名な債券市場ストラテジスト、モハメド・エラリアン氏は6月の「前月比」上昇率は5月よりも悪化すると予想していた。つまり、前月比0.7%以上の上昇が見込まれるということになる。同氏の過去の的中率の高さを考えれば、7月発表の次回数値の悪化の可能性は極めて高い。

    ア-③

    よって、7月CPIでヘッジファンドに大規模な売り仕掛けを6月同様に再度かけられる危険性が大いにありうる。しかし、すでにチャートには織り込み済みかもしれない。

    イ 注目の今回7月公表の6月分のコアCPIは「前月比」で0.7%上昇(エコノミスト事前予想中央値0.5%上昇)

    エコノミスト予想が外れ、少なくとも悪化するというエラリアン氏の予想通りの結果になりました、見事という他ありません。

    ウ 今後の展望

    しかし、エコノミスト群も外したとはいえ、0.5%という予想を出してきたこと自体には大いに注目すべきでしょう。なぜなら、エコノミストが前月比低下という予想を出してきたことの意味するものが、ついに機関投資家の総意がインフレピークアウトに傾いたことを暗示していると解釈できるからです。さらに今回の0.7%という上昇率もギリギリ前月比わずか0.1%の上昇でしかない上に、エラリアン氏は次回の8月でさらに悪化するという予想を出していないのです。それどころか同氏は相場が底を打ったというニュアンスの詩的なコラムを7月6日付けで出してきたのです(このコラムについては、ブルームバーグの記事から「信じないと思うが市場に光る希望の三つの兆し」というタイトルで各自検索してみて下さい)。今回のCPIでは、前回と違って株価急落といった事態には至りませんでしたが、すでにチャートに織り込まれていたということでしょう。また、このCPIの結果以降、機関投資家のトーンが大きく変わってきた印象も受けるのです。以下に箇条書きで整理しました。

    ウ-① 各エコノミストの見解の平均像

    商品相場がこの数週間に下げていることもあり、6月がCPI上昇の頂点になる公算が大きい。燃料価格は7月に入って上昇が緩和し始めており、7月CPIから鎮静化に向かうことが示唆されている。また、依然として高水準とは言え、小売り在庫の高まりによる値引きや中古車価格の落ち着きを背景にインフレ率が多少鈍化する態勢が既に整いつつある。

    ウ-② 分析サービス会社インフレーション・インサイツ

    FRBが望むコアCPI鈍化の始まりが6月だという当社の見立て通りなら、当局者の発言はすぐに9月の0.5ポイント利上げの方向に切り替わり、その後は年末にかけて0.25ポイントにペースを緩める声が増えるだろう。

    ウ-③ 投資調査会社22Vリサーチ

    「非常に悪い」と表現できるが、輸送と商品の価格はこの先下がると予想されるので、来月のCPIは低下する可能性が非常に高い。

    ウ-④ 機関投資家ナショナル・セキュリティーズ

    細部に目を向けると、実質平均時給が前年比で下がってきており、賃金と物価の上昇圧力が緩和しつつある事実を示す良い要素だ。投資家はこの統計が過去のものであり、インフレ圧力の一部は6月から緩和したことを示す明白な証左だと言い始めるだろう。

    ウ-⑤ 経済調査会社キャピタル・エコノミクス

    予想以上に上昇し、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での75ベーシスポイント(bp)追加利上げは決定的となったが、商品価格がその後急落し、賃金上昇率もここ数カ月は緩やかになっていることから、先行き見通しは1カ月前ほど暗くはない。

    ウ-⑥ 機関投資家アメリプライズ・フィナンシャル

    投資家は、より高い数字が出ることを想定しており、現時点でこの水準であるということはインフレがまだピークに達していないことを示している。市場はインフレのピークがいつかを見極めようとしており、それは7月かも知れない。

    ウ-⑦ 機関投資家BMOキャピタル・マーケッツ

    インフレは鈍化しているどころか、加速しており、7月のガソリン価格低下や伝えられている小売りの値引きは物価上昇の勢いを抑える一助になるだろうが、家賃を中心にコア指数に見られる広範な圧力はインフレがまだしばらくはピークに達しない可能性があり、根強い高水準が想定以上に長期化する可能性も示唆している。

    ウ-⑧ 機関投資家野村証券

    CPIに関して、高い数値が織り込まれていた、あるいは今回がピークとマーケットはみている可能性がある。

    ウ-⑨ 分析サービス会社ムーディーズ・アナリティクス

    労働省のデータは他の推計より遅れて実態が示される傾向があり、家賃値上がりが年内のCPI上昇の要因となる可能性が高い。CPI統計が示す家賃が大きく伸びたが、市場ではすでに一貫して2桁の伸びとなっており、これに追い付こうとしている。すでにこれ以上高い家賃を払える余裕のない借り手が敬遠しつつあり、マーケットで家賃が天井を付けつつあるようなのは朗報だ。

    ウ-⑩ シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)

    7月11日 26.17ポイント
    7月12日 27.29ポイント
    7月13日 26.82ポイント
    7月14日 26.40ポイント
    7月15日 24.23ポイント

    ウ-⑪ 機関投資家モルガン・スタンレー

    アメリカが深刻あるいは非常に厳しいリセッション(景気後退)に陥る可能性は低い。当社は大半の事業において「米国ロング」である。

    ウ-⑫ 投資調査会社ブルームバーグ・エコノミクス

    総合PPIの数字は大幅な上昇だが、中身を見るとインフレ圧力が若干緩和した兆しも一部に見え始めており、川上から川下へのインフレ圧力が極めて緩慢にではあるが、明確に緩和していることが示されている。

    ウ-⑬ 資産運用サービス会社ウェルススパイア・アドバイザーズ

    景気後退はあるだろうが緩やかなものだろう。重要なのは労働市場が引き続き堅調なことだ。雇用情勢を踏まえると差し迫った脅威ではない。

    ウ-⑭ 機関投資家BMOキャピタル・マーケッツ

    この日の統計で短期的なリセッション(景気後退)に関する臆測は後退する可能性がある。

    ウ-⑮ 機関投資家インガルズ&スナイダー

    今の経済指標には一貫性がなく、ポジティブだったりネガティブだったりするが、これは今が転換期であることを示唆している。

    ウ-⑯ 住宅金融大手ネーションワイド

    リセッションが浅いものとなれば、今後1年にわたり相場には上昇の余地がある。そこに至るまでの道のりは心地良いものではないかもしれないが、企業決算が持ちこたえられるなら、慎重ながらも楽観になれるかもしれない。

    【今日のチャート分析】(※この原稿を執筆しているのが、7月18日月曜日の夜間アメリカ市場の開始前であることをご承知おき下さいませ)

    6月20日の株情報で掲示したS&P500種日足半年チャートをご覧下さい。そこでは、短期的下降トレンドラインC2を上方ブレイクアウトした後に、上から再度C2に接近しているのは、レジスタンスラインとサポートラインの役割逆転のパターンなので強いサポート機能を果たすと予想しましたが、その通りの展開となりました。そして今、株価は下からC1に差し掛かっており、もしもこれを出来高の増加を伴ってブレイクアウトできれば、ようやく米国株でも新しい上昇トレンドチャネル(上昇トレンドラインレンジとも言う)の形成にこぎつけそうです。そして、新しい上昇トレンドチャネルの形成こそ、上記【1-2-1】ウ-⑮機関投資家インガルズ&スナイダーの「今が転換期」という分析がチャートに表れることになると言えるでしょう。
    (●上昇トレンドチャネルについては、渋谷高雄大百科第5章第6項等を参照)

    【安倍元首相の不慮の死について】

    最後に、安倍元総理が凶弾に斃れたこと、本当に無念で悲しく残念な思いです。志村けんがコロナで亡くなられた晩もそうでしたが、その夜はあまり眠れませんでした。何度も何度も「安倍さん、どうしてすぐに伏せなかった・・なぜ??」と、どうしても考えてしまって寝付けないのです。最初の異音から次の銃撃まで3秒弱もあったならば、異音と同時にとっさに伏せていれば、それで1秒。伏せた姿を目にしたSPが我にかえってとっさに安倍さんに飛び掛かり覆いかぶさって2秒弱。合計3秒弱で、犯人の2回目の銃撃までの時間とほぼ同じくらいという試算ができます。よって助かった可能性が大いにあったと思うと、そればかり考えてなかなか寝付けませんでした。我々のようなイナゴ投資家が、安倍さんの死を無駄にせず教訓とするならば、「最悪の想定」と「それに対応した訓練」を日頃から意識して鍛錬を継続していなければ、いざ本当にオオカミがやってきた時に体は動かない、このことを学び直すべきでしょう。これは投資の道の根幹である「リスク管理」に大いに通ずるところがあると思います。要は、異音の原因を確認するのに3秒かけるのではなく、原因の確認は後回しで、突然の異音のような原因不明の突発事態発生となったら、毎回毎回全回、本人は即座に伏せて、SPは本人に覆いかぶさることに3秒かけた後で事実確認を行うべきだったのです。仮にこれがロシアや中国や北朝鮮での出来事なら、誰であろうと近寄ってきてカバンに手を入れた時点でSPに即時射殺される警護システムなのは間違いないはずです。つまりリスク管理を常に優先しているのです。この点、銀河英雄伝説という物語において、主人公ラインハルトが副官のキルヒアイスの銃携帯許可を取りやめた直後に暗殺者に襲われて副官を死なせてしまった事例に通じるものがあると思えます。ちなみにその物語では、犯人が死体の胃袋に隠していた銃を取り出して主人公に銃口を向けた時、副官以外の部下全員が1秒で状況を飲みこめなかった中で(つまり部下の中には百戦錬磨のミッターマイヤーやロイエンタールのような優秀な提督がいたが、彼らですらとっさの事態に、事実確認に最初の貴重な1秒を費やしてしまったということ)、副官キルヒアイスのみが0秒で犯人に踊りかかることができた理由は、副官には常に暗殺者を想定して油断がなかったからこそ、彼のみが0秒でとっさに体が動けたという結論に至るわけなのです。本来なら犯人は、銃を構える寸前に副官の銃で射殺されていたはずなのですが・・・。安倍首相、最初の異音で「なんだ?」と振り返ってほしくなかったです、とっさに伏せてほしかった、心からそう思います。仮に異音が悪質なイタズラで、一部の心なき聴衆の失笑を買ったとしても、それが何度も繰り返されたとしても、必ず1秒で毎回毎回毎回伏せるべきなのが、国防はもとより、全ての人々の仕事ぶりにすら通じるのだということが、安倍さんの死と引き替えに学び直せたように思えます。心よりお悔やみを申し上げます。

  • 2022年7月4日 株情報追加

    2022年7月4日 株情報追加

    (2022年7月3日執筆)

    【カギその1】インフレピークアウト数値出現に関して、追加で出された重要な報道まとめ

    1週間前に執筆した前回の株情報の内容において、「しかしここに至り、短期的な近い未来においてインフレピークアウトを予感させる指標数値がついに出そうな気配であるが、ゲームチェンジャーが幻想だったとして、今回の窓空け大陽線が本当にトレンドの大転換につながるほどのエネルギーを秘めているのだろうか? 今までが今までだけに簡単には信用できないというのが現在の多くの個人投資家の心境だろう」と述べました。その後の株価の動きは4営業日続落するも、直近最安値を割ることはなく小反発という迷いを体現したような動きとなっています。これも前回の内容で述べたことですが、次回CPIでヘッジファンドによる再度の大規模売り仕掛けをかけられる危険性が大きいとは言え、この小反発が例えば過去の2016年6月下旬から7月上旬にかけての大局的な転換点の初動の期待はあります。今回もロイター、ブルームバーグ、ストックボイスなどの報道記事を参考にしています(これまで何度も述べてきた通り、個人投資家にとって各社記事の日々のチェックはファンダ動向をつかむ上で必要不可欠な作業と言えるでしょう)。さてまずは、6月後半の報道によれば機関投資家ブルーベイ・アセット・マネジメントの最高投資責任者は、「市場が安定し相場が上昇するには、インフレがピークアウトしたという材料がある程度出てくる必要がある。それは弱気相場が終わるための前提条件といってよい。それはまず債券で、次に株式で起こるだろう」との見方を示したそうです。他にも、この数日の報道から筆者が注目した記事がいくつかあります。例えば機関投資家プリンシパル・グローバル・インベスターズの分析として「米国のインフレはピーク到達に近づきつつあるようだ。消費者はモノからサービスにシフトし、全体の需要は鈍化し、コア消費財の物価圧力もよりデフレ気味になりつつある」といった内容や、機関投資家インガルス・アンド・スナイダーの「インフレがピークに達した可能性を示す初期の兆候が出ているが、依然として経済と物価動向を巡る多くの不確実性が存在している。FRBが利上げ継続の姿勢を変更するには、さらに多くの証拠が必要になる」といったものです。このように機関投資家もインフレピークアウトの手ごたえをそろそろ感じている模様です。他にも特に驚いた記事として、機関投資家ウェルズ・ファーゴの「長く続けてきたバリュー株選好の方針を転換した。景気が減速しつつある状況にあり、より長期のインフレ期待も和らぎつつあるようだ。我々は一定の成果を挙げた後、約2週間前にシクリカル(景気循環)陣営を離れた」といった投資方針の劇的な転換を知らせる内容もありました。だからと言って即時トレンド転換につながると断言できないのは、上記ブルーベイの見解にもある通り、これでようやく前提条件をクリアできたに過ぎないと機関投資家が依然として慎重姿勢を崩さないからです。機関投資家も余剰キャッシュの投入タイミングを伺っているというのは前回株情報で述べた通りですが、それは今後の企業業績の動向次第ということなのでしょう。

    次に、前回の株情報において、【1-1】から【1-3】まで執筆しましたが、その続きは以下のトピックに整理できそうです。

    【1-4】住宅市場の動向

    【1-5】消費者の好みの変化による在庫問題とサプライチェーンの相関性、及び仕入れ価格の下落の見通し

    【1-6】労働市場と貯蓄低下、クレジットカード利用増の相関性

    【1-7】石油・資源価格下落の見通し

    【1-8】需要、生産拡大の見通し

    以上に分類できるのですが、いかんせん今回も筆者の執筆時間に限りがあって、これらのネタもおおよそインフレピークアウトを感じさせる内容であること、そして今後の真のテーマとなりそうなセクターごと業績の見通しに関することなので、今回は以下の【カギその2】の執筆を優先すべきと思い、今日はそちらから先に書いていきたいと思います。

    【カギその2】中間選挙や過去の暴落場面から学べる株価アノマリー

    このネタについては、先に内容をどんどん書いてしまいましょう。

    【2-1】月次系各種アノマリー

    【2-1-1】1月株価マイナス影響アノマリー

    機関投資家LPLファイナンシャル(2月1日付け報道)

    1950年以降でS&P500が1月にプラスだと残りの11カ月は平均11.9%上昇したが、マイナスになった場合は平均2.7%の上昇にとどまった。しかし最近では傾向が異なるといい、1月にS&P500がマイナスとなった直近10回のうち9回はその後11カ月でプラスとなり、平均上昇率は13.1%(4500*13.1%=約5100ポイント)だった。

    【2-1-2】4月株価マイナス影響アノマリー

    ※これは2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅲ】ファンダ要因【19】③機関投資家BofAの分析が該当します。その重要点を再度まとめると、1928年以降のデータを分析し、4月の月間騰落率がマイナスの年は、その年の残りの期間に同指数が苦戦する傾向があるというものです。

    【2-1-3】1月から5月株価マイナス影響アノマリー

    機関投資家LPLファイナンシャル(5月30日付け報道)

    S&P500種はこれまで、年初100営業日間のパフォーマンスが最も悪かった5年はいずれも年内に反転し、その後の7カ月間で平均19.1%上昇(S&P500種で4100*19.1%=約4900ポイント)している。

    【2-1-4】1月から6月株価マイナス影響アノマリー

    機関投資家LPLファイナンシャル(6月27日付け報道)

    1932年以降の下落局面に関するデータによると、S&P500が年央時点で15%以上下落した年は、下半期に毎年株価が上昇し、平均リターンは24%近く(3800*24%=約4700ポイント)に達する。参考までに、BoFAグローバルリサーチが注目している一部の逆張り指標も、買いシグナルが点滅しているという。またナティクシスのストラテジストは、経済に関する多くの悪材料は織り込み済みで下半期は上半期より良くなる可能性が高いとみているそうで、特にグーグルの親会社アルファベットのような株価が大幅に値下がりしたバランスシートの強い大手ハイテク企業の株式に強気な見方を強めている。

    【2-2】中間選挙アノマリー

    機関投資家LPLファイナンシャル(1月24日付け報道)

    1950年以降のデータから分析したところによると、中間選挙年の最後3カ月と翌年1-3月(第1四半期)と4-6月(第2四半期)は、4年間の大統領選挙サイクルで好調が目立つ時期だという。

    【2-3】戦争アノマリー

    調査会社ネッド・デービス・リサーチ(2月24日付け報道)

    歴史を振り返ると、危機的出来事が市場の調整を引き起こしてきたが、相場は通常数カ月以内に下げを回復した。1907年以降54回の危機を検証した結果、ダウ工業株30種平均は危機のさなかに平均7.1%下落し、危機が終わって半年で平均9.7%反発したと分析できた。同社によると、ロシア・ウクライナ関連のリスクがエネルギー価格の高騰に拍車を掛け、企業利益の減速がコンセンサス予想より大幅になりかねないことはあるが、大局的に見れば、米株式相場が年前半に弱含み後半に回復する可能性があるという見通しに変更はないという。

    【2-4】利上げサイクルアノマリー

    機関投資家トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズ(1月24日付け報道)

    同社の最高投資責任者によれば、1950年代以降の12回の米利上げサイクルで株式相場は年率で平均9%上昇し、そのうち11回でプラスのリターンだった。唯一の例外は、1973年から75年のリセッション(景気後退)に重なった72年から74年の期間だが、過去のデータでは基本的に米金融当局の利上げ局面では米国株は歴史的には好調な傾向があり、2022年は年初よりも良い基調で終了する可能性が高いと分析している。

    ※次に2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅲ】ファンダ要因【24】①機関投資家東海東京調査センターの分析が該当します。その重要点を再度まとめると、1980年以降の過去9回の米国の金融引き締め局面で、1回目の利上げ後のS&P500種株価指数の推移(中央値)を試算すると、利上げ開始の2カ月後にボトムを付け、4カ月後にはプラス圏に浮上。6カ月後まで上昇した後は、もみ合い商状へと転じていた。今回では、3月15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で最初の利上げが決定。米S&P500種は4月以降に調整色を強め、約2カ月後である5月12日に年初来安値を付けた(実際には約3か月後の6月中旬)。それに対し、日経平均株価は最初の米利上げ後はほぼ右肩上がりで推移し、8-9カ月後にピークを付け、この間はS&P500種をおおむねアウトパフォームする傾向がある。この過去の経験則にのっとれば、米利上げ開始から8-9カ月後の本年11-12月まで日本株は強含むことになる。過去のピークまでの中央値は、最初の利上げ時(今回は3月16日終値2万5762円)に比べ10%強の上昇率(28300円)だったが、もっとも10カ月後からは日本株は調整し、高値圏で推移する米国株とパフォーマンスが逆転することもデータは示唆している、というものです。

    【2-5】逆イールドアノマリー

    ※これは2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅱ】需給動向【1】①機関投資家JPモルガンの分析が該当します。その重要点を再度まとめると、景気後退は通常、利回り逆転よりも前に始まることはなく、時差は最長2年後(2024年3月)と極めて大きい。さらに、この時間軸で株式のパフォーマンスは債券を大きく上回る傾向があって歴史的に見ると、株式市場のピークは利回り逆転から1年前後で起きている(つまり2023年3月)、というものです。

    ※次に2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅲ】ファンダ要因【5】②機関投資家シティグループの分析が該当します。その重要点を再度まとめると、3月下旬、2019年以降で初めて逆転した米国債の逆イールドは、リセッション(景気後退)入りの警告サインと捉えられる一方、逆イールド発生後に米国株は通常上昇する。歴史的に見て、米国の2年債と10年債の利回りが逆転した翌年(つまり来年の2023年)にはリターンが限定的なものにとどまることが多いとは言え、米株は通常上昇してきた。そして3年目(つまり再来年の2024年)には米国株は下落することになるが、それでもなお国外の市場をアウトパフォームする、というものです。

    【2-6】需給アノマリー

    ※これは2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅱ】需給動向【2】①機関投資家岩井コスモ証券の分析が該当します。その重要点を再度まとめると、4月は長期資金の買い需要で、日米共に最大の現物買い現象が起きる傾向がある。次に11月と12月も買い越しが大きい、というものです。

    【2-7】クレジットスプレッド変動アノマリー

    ※これは2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅱ】需給動向【21】②債券調査会社クレジットサイツの分析が該当します。その重要点を再度まとめると、このところ、S&P500種株価指数は1月高値から20%近く下げたが、クレジットスプレッドの変動はそれほど大きくなくなってきた。債券調査会社クレジットサイツはこれを、株式相場の底入れが近いことを示唆していると指摘する。クレジットサイツは1998年以降、S&P500種が週間ベースで特に大きく動いた7つの期間を調査した結果、S&P500種が持ち直し始める平均42日前にクレジットスプレッドの変動がピークを付けていた。では今年はいつ、クレジットスプレッドの変動がピークを付けたのかと言うと、それは42日前よりさらに遡る3月だった。クレジットサイツによれば、過去のパターンがまだ生きているとすれば、株式の変動ペースは高くなり、S&P500種は底に近づいていくという、というものです。

    【2-8】ボラティリティー関連アノマリー

    機関投資家JPモルガン(2月9日付け報道)

    同行ストラテジストによれば、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)が1カ月移動平均を50%余り上回る水準に上昇した場合に買いシグナルが現れる。この指標は過去30年間にわたり、リセッション(景気後退)期を除けば100%正確だという。直近では1月25日にシグナルが見られた。VIXの同シグナルが現れたのは1990年以降で21回。S&P500種株価指数はその半年後(2023年8月)に平均9%上昇(4300*9%=約4700ポイント)した。この法則が唯一当てはまらなかったのは2008年の金融危機時で、S&P500種はその6カ月後も33%安と低迷していた。

    ※次に2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅱ】需給動向【23】②機関投資家モルガン・スタンレーの分析が該当します。その重要点を再度まとめると、連邦準備制度の利上げと差し迫った量的引き締めの影響を巡る不透明からボラティリティーのロングポジションのコストは上昇し、中国経済減速とウクライナでの戦争もこれを増幅させた。ボラティリティー上昇を見込む取引はヘッジ手段としてコスト高になり過ぎているため、一部の資産については相場変動がピークに達したとみるポジションを組むべきだ。ボラティリティー市場は、スポット市場が底を打つ前にピークを付ける傾向がある。例えば、S&P500種株価指数の1年間のレンジは32604930と示唆され(25日終値は3978)、10年物米国債利回り2.3-4.5%の範囲を示唆しているが、弊社の予想レンジは2.2-3.4%だ。ボラティリティー市場は弱気相場を十分織り込んでおり、現在の水準でボラティリティー上昇に賭ける意味はなく、インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は過去の水準に照らして全体的に高い、というものです。

    【2-9】シティチェックリストアノマリー

    ※これは2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅲ】ファンダ要因【30】⑤機関投資家シティグループの分析(5月26日付け)が該当します。その重要点を再度まとめると、シティの「弱気相場チェックリスト」のうち警鐘を鳴らしているのは18項目中6項目のみ。世界金融危機の前は13項目、2000-03年の株安前には17.5項目だった。過去において市場の警戒信号が現在と同じような水準まで減った際には、その後12カ月で株式相場は平均31%の健全な上昇(S&P500種で3900*31%=約5100ポイント)を演じた、というものです。

    【2-10】暴落回復パターンアノマリー

    ※これは2022年5月23日株情報の記事の中で、【Ⅱ】需給動向【21】③調査会社ネッド・デービス・リサーチの分析が該当します。その重要点を再度まとめると以下となります。

    株式相場は急落した後、底入れまで4段階のプロセスに従うことが多い。

    第1段階では、主要な指数が極めて売られ過ぎの水準に低下する。
    第2段階では、相場は反転上昇する。
    第3段階では、反発が持続するか確認するために再び安値を試す。
    最終段階では、短期間に下落銘柄数と比べて上昇銘柄数が極めて多くなる「ブレドス・スラスト(breadth thrust)」のクラスターが発生する。

    本記事執筆時点の7月3日において、6月中旬からの反発が本当に最終第4段階(ブレドス・スラスト)の初動なのであれば、短期間に下落銘柄数と比べて上昇銘柄数が極めて多くなるクラスターがほどなく発生することになる。

    【2-11】景気後退アノマリー

    機関投資家ビスポーク・インベストメント・グループ(6月16日付け報道)

    データによると、景気後退を伴う弱気相場はより長く深刻になる傾向があり、約35%の下落幅が中央値(SP500で、4800*0.65=3120)となっている。

    【2-12】危機発生後定量分析アノマリー

    機関投資家ソシエテ・ジェネラル(6月24日付け報道)

    同行によれば、利益予想やバリュエーションと対立する要因として、1870年代以降の危機後の市場バリュエーションを定量分析を用いて研究した結果、底値のレンジ上限は3150(ピークからの下落率は約34%)、レンジ下限は2900(ピークから最大40%下げ)と導き出した。ソシエテ・ジェネラルは、歴史的な危機後の市場バリュエーションのトレンドライン(傾向線)に沿ったS&P500種の適正価額として、3020という数字を算出した。

    【2-13】まとめ

    さて、以上から推定到達株価をまとめると、以下のようになります。視覚的に認識しやすいように、ブル予想は赤字で、ベア予想は青字で書きました。なお、本稿執筆時点におけるS&P500種は3825ポイント、日経平均先物は26320円です。これらアノマリー群から筆者が持った印象は、2-11の景気後退と2-12の金融危機だけはどうにか回避して、今回の始末を景気の一時的減速で済ませることができれば、年末には他多くのアノマリーが示す結果になりそうに思えてきます。それはつまり、2週間前の株情報チャート分析の項目で述べたように、これからの下半期でWトップをつけにいく、というものです。

    【2-1-1】1月株価マイナス影響アノマリー:S&P500種で年末5100ポイントに到達
    【2-1-2】4月株価マイナス影響アノマリー:4月の月間騰落率マイナスの年は残りの期間にS&P500種指数が苦戦する傾向
    【2-1-3】1月から5月株価マイナス影響アノマリー:S&P500種で年末4900ポイントに到達
    【2-1-4】1月から6月株価マイナス影響アノマリー:S&P500種で年末4700ポイントに到達
    【2-2】中間選挙アノマリー:本年10月から2023年6月までは、4年間の大統領選挙サイクルで好調が目立つ
    【2-3】戦争アノマリー:大局的に米株式相場は、年前半に弱含み後半に回復する
    【2-4】利上げサイクルアノマリー:S&P500種2022年末は年初4800ポイントよりも高く終了する。また、日経平均株価は本年11-12月まで強く28300円に到達する。
    【2-5】逆イールドアノマリー:株式市場のピークは2023年3月前後(ただしリターンは限定的)で、2024年には下落
    【2-6】需給アノマリー:日米共に11月と12月に長期資金の大きな現物買い需要が起きる傾向あり
    【2-7】クレジットスプレッド変動アノマリー:3月以降、株式の変動ペースは高くなり、S&P500種は底に近づいていく
    【2-8】ボラティリティー関連アノマリー:S&P500種は本年8月に約4700ポイントへ到達、また1年間の予想レンジは32604930
    【2-9】シティチェックリストアノマリー:S&P500種で2023年5月頃に5100ポイントに到達
    【2-10】暴落回復パターンアノマリー:第4段階のシグナルは、下落銘柄数比の上昇銘柄数が極めて多くなるクラスター発生
    【2-11】景気後退アノマリー:景気後退発生でS&P500種は平均3120ポイントまで下落
    【2-12】危機発生後定量分析アノマリー:金融危機発生でS&P500種は少なくとも3150ポイント(適正3020、最悪2900)まで下落