2021年3月28日 株情報

(2021年3月28日執筆)

今年前半戦の最大のヤマ場到来と称した前回の原稿執筆から約1ヶ月が経過しましたが、その後の株価の動きがどうなったか分析してみましょう。今回では、前回に引用したマザーズ日足約2年チャートに加えて、TOPIX日足約半年チャートとナスダック日足約2年チャートにも目を向けてみます。まず最初にナスダックのチャートをご覧下さい。

前回の原稿において以下のように述べましたが、
>ナスダックで12000ポイント程度までの下落がありえる
>しかしその付近にはサポートラインがあるので、ナスダック株価がそこまで落ちても、彼岸底的な反発の動きを見せてくるようであれば、そこは絶好の買いポイントになる

結局その後、ナスダックはほぼその通りの動きを見せて12400ポイント付近まで下落した後に反発して今に至っています。そのため、ナスダックのチャートにも前回のマザーズと同じようなピンク色のラインで描いた上限上昇トレンドラインAと下限上昇トレンドラインA’に挟まれた上昇トレンドチャネル(トレンドラインレンジとも言う)が形成されたのです。
(●上昇トレンドチャネルについては、渋谷高雄株式投資大百科第5章第6項等を参照)
しかし同時に青色のラインで描いた上限下降トレンドラインDと下限下降トレンドラインD’に挟まれた下降トレンドチャネル(トレンドラインレンジとも言う)も形成されているのが分かります。
(●下降トレンドチャネルについては、渋谷高雄株式投資大百科第5章第13項等を参照)
つまりナスダックは現在、下限上昇トレンドラインA’と上限下降トレンドラインDに挟まれた三角持ちあいのチャートパターンを形成しているわけです。
(●三角持ちあいチャートパターンについては、渋谷高雄株式投資大百科358ページや361ページのチャート事例7-2-5-4、400ページ等を参照)
よって当面のナスダック最大の注目ポイントは、A‘とDのどちらをブレイクするかです。Dを上方ブレイクアウトできれば下からAに接近する付近までの上昇が期待できます。反対にA’を下方ブレイクダウンしてしまうと今度はD‘に上から接近する付近までの下降がシナリオに浮上してくるからです。
次にTOPIX日足約半年チャートをご覧下さい。

こちらはとても分かりやすい形をしています。A‘さえ割らなければ、間もなく新年度入りすることで新規資金が流入しやすい環境を考えると、下からAに接近する付近までの上昇がメインシナリオとなるでしょう。


最後にマザーズですが、前回版に比べて今回は、C-C‘とD-D’という2つの下降トレンドラインレンジが加筆されています。このマザーズについても前回の原稿において以下のように述べましたが、

>今後の最大の注目ポイントは、A’ラインで下げ止まって反発してくれば今回当原稿の最初に述べたバブル最高値奪還に向けた株価上昇の動きにつながる可能性が出てくる
>その後さらにAラインを上方ブレイクアウトできれば、それはWトップチャートパターンの形成失敗になり株価の上昇の勢いは強まる
>反対にナスダック株価が下げ止まらず、マザーズ株価がA’ラインを勢いよく下方ブレイクダウンしてしまうと今度はトレンドラインレンジ割れを起こすことになってしまうので、バブル崩壊以降の最高値の年内奪還も遠のくことになる

結局はマザーズもA‘で支えられましたが、印象としては何とかギリギリ持ちこたえたという感じで、同時にC-C‘とD-D’という2つの下降トレンドラインレンジの存在を私たちに認識させたのです。特に新年度に入ってからDを上方ブレイクアウトできなければ、それは次こそA‘割れを引き起こすことにつながってしまうので引き続きマザーズには正念場が続くでしょう。新興市場は「成長志向」の名分のもとに配当や優待を実施する銘柄が少ないため、権利付き最終売買日までは不利で、権利落ち日以降に見直し機運が強まり4月は強いと言うアノマリーもあるので、今年もその通りであればDは上方ブレイクアウトできるでしょうが、いずれにせよマザーズにおいてもナスダックと同じ下限上昇トレンドラインA’と上限下降トレンドラインDに挟まれた三角持ちあいのチャートパターンが形成されているので、それをどちらにブレイクできるかが今年前半戦を占う大きなカギであることに違いはありません。