2021年9月5日株情報

(2021年9月5日執筆)


暑い季節は、どうにも更新が滞りがちで今回は恥ずかしながら前回の原稿執筆から52営業日が経過してしまいましたが(申し訳ありません・・)、その後の株価の動きがどうなったのか分析してみましょう。いよいよ秋相場の到来ですね、これまでの株情報において何度か、「今年の株価の動きは2017年型に似ていく可能性が高い、その2回目の下げが夏あたりにあるかもしれない、その上で秋から再上昇開始の型になるのではないか?」といった予想を立ててきましたが、感染力の強いデルタ型コロナウイルスの蔓延といった予想外の不確定要素は残るものの、現在の日経平均は8月からその通りに反発上昇の動きをしています。
まず、前回の6月20日分の株情報において、「今年の日経平均が2017年型のチャートに似てくるという予想の実現可能性が高まる」と述べました。また、5月10日分の株情報においても、箇条書きにして抽出すると、以下のように述べています。


高値を追うのは自己と外国人、安値を買い支えるのは日銀黒田という構図が当面は続くわけで、この需給関係では2017年型のチャートが示現するだろうというのが今年のメインシナリオになる。


今年の日経平均の動きのイメージは2017年型であることが予想できる。2016年11月12月に急騰したのも似ている。
2017年では調整場面は2回あり、
一、3月下旬から4月下旬までの19600円から18200円の▲1400円(約7~8%下落)
二、8月上旬から9月上旬までの20200円から19200円の▲1000円(約5%下落)
その2回目の調整の後に、9月から11月上旬までの2ヶ月強の期間で一気に19200円から23400円まで▽4200円も上げた(約22%上昇)。


では、30000円から38000円バブル高値奪還までの上げが、夏から秋にかけて本当に来るのか?やや先の話しになるが、2017年同様に今年の夏以降に来るであろういったんの調整の様子を見てから再度予想してきたいと考える。

整理すると上記①~③の通りですが、今後はどうなるのでしょうか? 菅首相退陣のニュースや、選挙は買いというアノマリー的な思惑からか、先週の金曜日の日経平均は急騰しましたが、まずはナスダックのチャートから分析していきましょう。
前回の6月20日分の株情報において、「ナスダックが今度こそ緑色の最終レジスタンスCを上方ブレイクアウトできれば、これまた前回で述べたことと同様にWトップ&三尊天井のチャートパターンの形成失敗となり、非常に強い買いシグナルとなる」と述べましたが、掲示したナスダック日足チャートをご覧下さい。分かりやすいように、これまで説明した上限上昇トレンドラインAと下限上昇トレンドラインA’(赤色)に挟まれた上昇トレンドチャネル(トレンドラインレンジとも言う)、下降トレンドラインレンジD-D’(青色)、
(●トレンドチャネルについては、渋谷高雄株式投資大百科第5章第6項等を参照)
レジスタンスライン(抵抗線)C(緑色)は、そのままの色やアルファベットで記入してあります。前回の株情報公開後に株価はCを上方ブレイクアウトして、その後は上昇トレンドを継続しています。途中で株価が反落する場面もありましたが、Xポイント(Cが今度は役割を逆転させてサポートライン(支持線)に変化した位置)や、Yポイント(上昇トレンドラインA’上)で支えられて教科書通りの反発もしてきたことが分かります。そして前回の株情報でも述べたように、金利やテーパリングが株価に折り込まれつつある以上、これらが今後に大きな悪材料になるとは限らず、そうなるとこの上昇トレンドは簡単には転換しないと思われるのです。しかし気になることもあります。それは上昇トレンドラインの上値が、赤色点線のAからオレンジ色のBに後退して切り下がってきていることです。この感触として「上昇トレンドではあるのだが、かといって強いという手ごたえに満ちているわけでもない・・」といった感じでしょうか? 8月下旬のCPIが思ったほど伸びておらず、10年金利低下の要因がデルタ株蔓延などからくる経済活動鈍化による景気の悪さにあるのが本当であれば、この中途半端さも何となくは理解できるのです。いずれにせよ、Bを上方ブレイクアウトできるかどうかが当面のナスダック最大の注目ポイントです。
次に、掲示した日経平均の日足チャートをご覧下さい。
今年の2月以降、長く続いた大局的下降トレンドラインレンジD-D’(青色)を、ついに上方ブレイクアウトできたことが分かります。すでにTOPIXのほうは高値を更新していることや、夜間の日経平均先物がさらに400円以上上げていることを考えれば、いよいよこれが「N字型チャートパターン」の形成初動か、という期待も高まります。
(●N字型チャートパターンについては、渋谷高雄株式投資大百科第5章第16項等を参照)
そこでチャート図に記入したピンク色のラインをご覧下さい。
Aで株価が7700円上昇した後にBで調整しているので、いよいよCにおいては青色の下降トレンドラインDを上に抜けた位置(大体28700円前後)を起点として、上昇トレンドが2~3か月ほど続き、その間の値幅がAと同じくらいの7000円から8000円と想定すれば、基本的セオリーから確かにバブル最高値奪還の可能性があるかもしれないのです・・
では、いわゆる格言:バスに乗り遅れないためには、どういうシナリオで今後臨むべきなのでしょうか? 買い遅れている場合は、まずは打診買いから始めて、そして前回高値の30700円付近を超えていくか、もしくはナスダックのBライン上方ブレイクアウトで買い乗せていくのです。
なお、損切りポイントについては、原稿執筆の時間の関係上、次回に解説しましょう。