【解説】
前回6月1日執筆の原稿において、
>過去のE-E’パターンでは、下降トレンドの途中でいったん戻る場面があり、
>そこが戻り天井となっていたことがチャートから分かりますが、さて今回はどうなるでしょうか?
と述べましたが、もちろん全くそっくりのチャートになるはずはないにせよ、
現在までの日経平均の動きは、いったん戻りを試した後に再度下落に転じる展開は過去と似ており、Wトップのチャートパターン(渋谷高雄株式投資大百科第5章第10項参照)を形成しました。
問題はここから先、どうなるか?ですが・・・
以下、2つのシナリオが考えられます。
【シナリオA レンジ相場の動きで再度反発するケース】
この場合、日経平均は上値抵抗線23,000円前後、下値支持線22,000円前後を挟んだレンジ相場を形成していることになり、ここから反発して再度約1,000円ほど上昇するケースです。
(レンジ相場については、渋谷高雄株式投資大百科第3章第4項「サポート・レジスタンス」等を参照)
【シナリオB Wトップのセオリー通りにネックラインを割り下落継続するケース】
この場合、日経平均は上記大百科該当項で解説している通り、直近天井とネックラインとの距離を考えて、ここからさらに下落して21,000円付近まで到達するケースです。
さて、どちらになるのか?
迷うところではありますが、そこで視点を変えて外国株式市場にヒントを探しに行ってみましょう。
米朝首脳会談がとりあえず波乱なく終わり、早くも次の争点が米中貿易戦争(中国の知的財産侵害に対する制裁関税)にシフトした感があります。
その影響のせいか、上海チャートが軟調な展開になってきています。
掲示した上海総合指数の月足チャートをご覧ください。
この上海は過去に何度か世界同時株安を引き起こした震源地であるので、継続的に注視しておく必要はあります。
(これについては、新設した株式投資大百科に関するQ&Aコンテンツの一番最初の部分である「日銭を稼ぐよりトレンドに沿ったスイングトレード」内の
「2015年夏のチャイナショックでの渋谷の思考」の部分で参考になることが述べられています、ご参照下さいませ)
このチャートを見ると、6月に入ってからの下落加速により、50ヶ月移動平均線を久しぶりに下回ったことが分かります。
そしてこの50ヶ月という期間は、偶然にもちょうど今から50ヶ月ほど前の2014年夏ぐらいに前回の上海バブルがスタートした時期にあたるのです。
それが今回下抜けたことにより、前回の上海バブル以降に株を買った人の平均値が含み損化したことを意味するのです。
こうなると今後、戻りは売られてしまう展開が予想され、上海は事実上弱気相場入りしてしまったと言えるでしょう。
上海の日足チャートは5日移動平均線をなかなか越えられないでいますが、今後越えてきて「底値反転」のチャートパターンを形成してきたら、上記のシナリオAで攻めることができるようになると考えています。
(底値反転チャートパターンについては、渋谷高雄株式投資大百科第5章第2項を参照)
ところで、6月12日(火)日本時間午前10時より行われた米朝首脳会談は、どうにも肩すかしの感で終わりましたね。
しかしその後、ほぼ即座にトランプは矛先を中国に変えて、じっくりと約1年ほども準備に時間をかけた知的財産侵害報復関税を表明しました。
これを「貿易戦争」と表現すれば、この仕掛けにこそ、北朝鮮問題よりもさらに先を見据えたトランプ=アメリカの国家戦略的な本当の狙いを感じるのです。
その狙いとは、軍事独裁国家として覇道に突き進む中国共産党を最終的に打倒することです。
これらの内容は長文化しそうなので、今後は北朝鮮問題&中国の台湾侵攻問題ネタについては、本株情報コーナーで副次的に述べるのではなく新規コンテンツを創設して、そちらで述べていきたいと考えています。