【解説】
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、年明け1月6日(月)から10日(金)までの5営業日は、予想だにしなかった遠きイラン・イラクの地からの軍事的緊張高まりのニュースを受け、日経平均は最大値幅1000円近い乱高下を演出しました。
しかし結局は、日経平均は1月10日終値23850円と値を戻して終えました。
まさにこれは、前回(2019年12月8日)執筆原稿の「②の日経平均 週足10年チャート」及び「④日経平均 日足2年チャート」の部分での解説において、
【今年2020年度の相場は、2003年頃に発生した「業績底打ち期待相場」と同様の展開で今後も上昇トレンドが1年くらいは続くのではないか?という見方ができる】
【それは、2003年4月末に安値約7,600円を付けた後から約1年にわたって上昇トレンドが続き、2004年5月に約2週間で2,000円近い大暴落が発生するまでの間つづいた】
【ただし上昇トレンドとはいっても、当時のチャートを見れば分かるが、反落や、時には大きな急落が合計7回位は発生しており、簡単な相場でもなかった】
【これは、来年(本年2020年のこと)のイベントの多さ(秋の米大統領選挙、ファーウェイ副社長引き渡し審理、香港問題、米中通商協議決裂リスクなど)からも、来年も2003年同様、上昇トレンドであったとしても一筋縄ではいかない相場が待っていそう】
以上のように述べましたが、つまり今年も7回くらいは発生するであろう大きな急落の第1弾が早くも最初の1週間で出現した、と言えるでしょう。
これは今年も、波瀾万丈な1年が待っていることを予感させます。
次に、前回執筆の原稿内容のその後の展開をおさらいしながら、今後の展望を考えてみましょう。
前回掲示した①のニューヨークダウ 週足10年チャートの前回解説においては、過去に形成された三角もち合いAと同様に、現在も新たに三角もち合いBが形成されて上方ブレイクアウトが発生しつつあると見てとれ、
今後も2017年と同じような適温上昇相場が1年くらいは続くのではないか?という期待には確かに現実味がある、と述べました。
そして今回は、昨年12月15日が期限であった対中追加関税第4弾の発動が【A 撤回】で決着したことで、この適温上昇相場入りの展開であるシナリオ【A】に入ったと言えます。
このチャートのその後も、三角もち合いBの青色の抵抗線を抜けて、さらに上昇しています。
(●渋谷高雄株式投資大百科 第5章第5項等を参照)
次に前回掲示した②の日経平均 週足10年チャートの前回解説においては、新たに下降トレンドラインBが形成されていたところにアメリカと連動して上方ブレイクアウトが発生し、今に至るまでの上昇トレンドを形成しており、
いわば2003年頃に発生した「業績底打ち期待相場」と同様の展開で今後も上昇トレンドが1年くらいは続くのではないか?という見方ができると述べました。
そして今回、シナリオ【A】の展開に入ったことで、下降トレンドラインAを抜けた後と似たような展開になることが本年のメインシナリオとなります。
しかしながら、日経平均はニューヨークダウに比べて上昇スピードが鈍く、それをクリアするための新しい課題として、
今回新たに掲示したチャート②’(日経平均 週足 5年チャート)の三尊天井のチャートパターン(山A、山B、山C)を形成している青色で示した抵抗線を、次にどのタイミングで上方ブレイクアウトできるかが、次の大きなポイントとなりそうです。
(●渋谷高雄株式投資大百科 第5章第11項等を参照)
反対にもし今後、これのブレイクアウトに失敗して、緑色のラインで示した25週移動平均線を割るような展開になるとシナリオ【A】が崩れてきます。
次に考えられる直近の悪材料としては、1月20日からの再開が予定されているファーウェイ副社長の引渡し審理の件があるので注意が必要です。
次に前回掲示した③のニューヨークダウ 日足2年チャートの前回解説においては、青色で示した上値抵抗チャネルラインCと赤色で示した上昇トレンドラインDに挟まれた上昇トレンドチャネルが形成されてきたことが分かると述べました。
(●渋谷高雄株式投資大百科 32ページチャート1-6-3-2や、第5章第6項等を参照)
そして現在、ダウの株価は、このラインCに差し掛かった状態であり、これを明確に上方ブレイクアウトできた場合、上昇トレンドが加速する可能性があります。
(●渋谷高雄株式投資大百科 第5章第5項、同第6項等を参照)
そして次に、前回掲示した④日経平均 日足2年チャートの前回解説においては、
ピンク色の短期上昇トレンドラインに沿って、株価は因縁のペンス・レジスタンスラインに差し掛かり、三角もち合いを形成していることが分かると述べました。
しかしながら今回、ペンス・レジスタンスラインは上抜けできたものの、今回新たに掲示したのチャート④’(日経平均 日足 2年チャート)の青色で示した三尊天井の抵抗線(チャート②’のものと共通)に加え、
年始のイラン問題で株価はこの短期上昇トレンドラインを大きく割り込んでしまい、すぐにリバウンドしたものの、今度は株価は短期上昇トレンドラインに下から接近する形となってしまったので、
今度は役割を逆転させて、レジスタンスの機能を働かせ始めたものです。
(●渋谷高雄株式投資大百科 第3章第4項、同第5章第10項チャート5-10-1等を参照)
ファーウェイ副社長の引渡し問題やイラン問題などの何らかの突発的な悪材料発生に連動して、株価がこの2つのラインを超えられずに反落した場合、再度の急反落の発生もありうるので注意が必要でしょう。
このように今年の相場は、大局的には上昇トレンドであるものの、突発的な急落も何度かありそうで、それも想定しながらのポジション取りが必要な展開となりそうです。
なかなか難しそうですが、読者の皆さま、お互いに切磋琢磨して頑張っていきましょう!