【解説】
まずは今回の①日経平均 日足1年チャートをご覧下さい。
晴天の霹靂とも言える新型コロナウィルスの出現と猛威に、前回執筆(1月19日)の原稿で述べたファーウェイ女性副社長の件は完全にかき消され、
株価は過去3回の株情報で解説したピンク色の短期上昇トレンドラインAと、過去2回の株情報で解説した青色の三尊天井の抵抗線Bのレジスタンス力の前に反落して、日足チャートで「Wトップ」のチャートパターンを形成しそうな展開になってきました。
(●Wトップについては、渋谷高雄株式投資大百科第5章第10項等を参照)
この原稿執筆時点において、CME日経平均先物が23610円なので(チャート上の☆印の位置)、
そのまま日足上で大陰線などを引けば、もはやWトップのチャートパターン完成と言え、前回の原稿で述べたブレイクアウトの可能性はだいぶ遠のくことでしょう。
(●CME日経平均先物については、渋谷高雄株式投資大百科332ページを参照)
それは同時に、これも前回の原稿でも述べたことですが、日経は大局的な週足の視点で一転して三尊天井のチャートパターン形成という形になり(2020年1月13日株情報の②’日経週足5年チャート参照)、
転じて下落第1目標がWトップのネックラインC、さらに下落すればサポートラインDまでの下落を新たに想定して、これまで買いポジション主体にシナリオを立ててきた場合、ポジション縮小もしくはヘッジ売りなどのリスク回避の手段を取る必要が出てきます。
(●トレードシナリオ練り直し、トレンド転換をピンポイントで狙う難しさ等については、渋谷高雄株式投資大百科第8章第7項等を参照)
なお参考までに、前回の原稿で述べた銀行セクターのチャートですが、依然として短期反転のシグナルである5日移動平均線超えができていません。
(●移動平均線については、渋谷高雄株式投資大百科第3章第6項等を参照)
さらに、これも前回触れた需給の問題=投資主体別売買動向から読み取れる事象においても、
1月14日(火)から17日(金)の取引状況として、
①の自己は猛烈に売っている
②の個人は猛烈に買っている
③の外人が半力程度に買っている
④の日銀黒田も、それに合わせて半力程度に売っている
といった印象です。
短期的な視点では、最強アルゴAI・自己は見事に今回の天井圏で、食物連鎖の最下層生物・個人に買わせました。
そして外人のせっかくの買いに、黒田東彦が効果帳消しの売りを相変わらずぶつけています。
(おい東彦、物価目標の達成はどうなった? 笑)
それにしても思うのは、今回はAとBを前にブレイクアウトをモタモタしているところに、疫病の世界的拡大という悪材料が出てしまったわけですが、
こうしたチャート上のポイントと材料の出現とは、不思議なくらいにタイミング良くリンクするものなのです。
2015年の中国発世界同時株安の時もそうでした。
これが偶然であるにしても、あらためてチャートとは「全てを表現する者」と思わせるものです。
まさに最高の舞台役者さんです。
(●「ニュースはチャートに事前に折り込まれていることがほとんど」については、渋谷高雄株式投資大百科第4章第7項等を参照)
以前の株情報でも、今年が例え適温上昇相場でも過去の事例同様、7回くらいは急落の場面があることも覚悟すべき、と述べましたが、早くも2回目の襲来となりそうです。
では次に、アメリカはどうでしょうか?
前回執筆(1月19日)の株情報で掲示した③’のニューヨークダウ 日足1年チャートを再度ご参照下さい。
さすがのダウも反落してきて、ピンク色で示した短期上昇トレンドラインAに上から最接近しています。
前回に「何らかの悪材料が出現して株価が反落してきても、このラインAに接近する場面は押し目買いの好機となる」と述べましたが、
ダウで再度、大陽線の示現などでAで支えられたことが確認できた場合、押し目買い出動のシナリオが立てられ、ロスカットポイントは上値抵抗チャネルラインC割れに設定するというのがオーソドックスなメインシナリオでしょう。
(●渋谷高雄株式投資大百科第8章全体を参照)
ダウにAで反騰する力がある場合、それを先に折り込む形で日経は上述のチャート上の☆印の位置から、寄り底大陽線などで反発すると想定しています。