2020年5月29日 株情報「Ⅲ−1 プラス材料 ①-ウ 既存治療薬の臨時転用の展望整理」部分を更新しました

Ⅲ-1-①-ウ 既存治療薬の臨時転用の展望整理

(2020年5月28日執筆)

各既存治療薬の解説に入る前に、今になって大分見えてきたコロナの正体について、ここで改めてまとめておきたいと思います。

まずは今一度、本稿「Ⅱ-2 いまだに未知な部分が多い無症状陽性者や完治後の再発症」の②「防衛省と自衛隊中央病院」の部分を読み返して下さい。
そこから、要点を抜粋してまとめると以下2点になります。

※無症状の陽性者や軽症者でも、CT検査で半数には肺に異常な影が見られ、そのうち約3分の1がその後、病状が悪化した

※自衛隊中央病院は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で感染した患者ら104人に関して症状をまとめ、約67%がCT検査で肺に異常な影が見つかっていた

これらそれぞれの症例について、やや数字に違いがあるものの、陽性者=感染者と定義してまとめ直すと、感染者(無症状、軽症など全てひっくるめて)の5割から7割においてCT検査で肺に異常な影が見られ、そのうちの約3分の1の人は、その後に病状が悪化する(つまり全体の17%から23%)という結論になるわけです。

この自衛隊中央病院の症例研究結果を、人数換算して再計算してみます。

ある時点において同時に感染した100名の感染者がいるとします。その内訳は、

【A】ノーダメージで済み、いつのまにか治ってしまう人の割合

⇒最少30名から最大50名

【B】肺に異常な影が見つかるほどのダメージが残るものの、その後に病状は悪化しない人の割合

⇒最少33名から最大47名

【C】肺に異常な影が見つかるほどのダメージが残り、さらにその後に病状が悪化する人の割合

⇒最少17名から最大23名

おおよそ、このような試算結果になります。
つまり【A】と【B】の人々とは、知らず知らずのうちに感染しても、気づかないうちに治ってしまうこともあって(Bは肺にダメージが残ったままですが)、日常生活を続けることができるということ。
しかし、【C】の人々は、平均潜伏期間5~6日(最大14日)経過後に、発熱などのコロナ症状が発症して検査の結果陽性だと分かり、いつ重症化するか分からない以上、アビガンなどの代用薬をとりあえずは飲んだほうがいい、という状態になるわけですね。

ここで次に、3月上旬にWHOから新型コロナとインフルエンザの違いというレポートが出ており、それを参考にしてみます。
それによれば、新型コロナはインフルエンザと比べて重症化するケースが多く、15%が重症化し酸素が必要、5%は人工呼吸器が必要になるのだそうです。
そのデータを【C】の17名から23名に当てはめて計算すると、
15%が重症化して酸素吸入が必要となるから、それは2名から4名になります。
また、5%に人工呼吸器が必要になるから、それは平均1名になります。

よって再度、感染した100名の内訳を細かく分けてみますと、

【A】ノーダメージで済み、いつのまにか治ってしまう人の割合

⇒最少30名から最大50名

【B】肺に異常な影が見つかるほどのダメージが残るものの、その後に病状は悪化しない人の割合(ただし、肺胞が一部線維化して損傷したまま5年以上治らないとか、後日の再発症とか、階段を登ったら息切れするとか、スキューバダイビングができない体になっていたとか等の後遺症については、今後の研究結果が待たれる)

⇒最少33名から最大47名

【CⅡ】肺に異常な影が見つかるほどのダメージが残り、さらにその後に病状が悪化するものの、その後に回復して(但し、入院・隔離中は想像を絶する苦しみを伴うらしいが)退院できる人の割合(芸能人で言うと、ソラ豆琴美さんなど)

⇒最少14名から最大18名

【D】肺に異常な影が見つかるほどのダメージが残り、さらにその後に重症化して酸素吸入が必要となる人の割合(芸能人で言うと、石田純一さんなど)

⇒最少2名から最大4名

【E】肺に異常な影が見つかるほどのダメージが残り、さらにその後に重症化して人工呼吸器が必要となる人の割合(芸能人で言うと、志村けんさんなど)

⇒平均1名

このように再計算できて、感染者100名は上記【A】から【E】に区分けできることになります。
筆者は、この試算結果を見るにメガクラスター100名のうち、ノーダメージで逃れることができる確率が最大30名というのに、率直にショックを感じるほうです。ロシアンルーレットとして考えれば、得体の知れない後遺症が残るかもしれない被弾の確率が5割から7割のゲームでは、確率が高すぎてリスクとリターンの割が合わないし、そもそも恐怖でエントリーできない、ということなのです。
さらに言えば、死亡するのは志村けんさんのように【E】の方でしょうから、ロシアンルーレット100発のうち1発が死神・・・
もっとも、死亡確率は基礎疾患の有無や、高齢といった年齢要素にも左右されるとはいえ、いくら若くても肺にダメージを与えさせたくないし、とにかく総合的に、ロシアンルーレットの確率が高すぎるのです。
例えて言えば、もしも読者の貴方が社員300名くらいの中堅企業に在籍しているとして、全社員強制参加の慰安旅行で全員感染のギガクラスターが発生したとして、無傷が最大約100名、残り200名強の肺にダメージ残存、そのうち最悪3名死亡なわけです・・・

これでは、ワクチンが行き渡るまでの間、民衆の足はすくんだままでしょう・・
現状でのアビガンの役割が、感染者のうち発症して検査の結果【C】であることが判明した人の発症後6日以内に薬を服用することによって、【D】や【E】に至る人を大きく減らせるということですから、最悪でも死ぬことはないというマインドを少しでも人々が持てるようであれば、経済活動の一定の再開も軌道に乗ってくることでしょう。現在の株高は、そうしたマインドを先取りしている側面もあると推定できるのです。
しかし副作用を考えて、妊婦には投与できない、或いは育ち盛りの子どもには投与したくないというマインド、そして何よりも感染そのものは防止できないことを考えれば、本質的には自分だけ感染してもアビガン打てばいい、という問題ではないので、やはりコロナ前の日常に戻るにはワクチンの登場を待つしかないと言えるのです。

※今回分はここまで、以降つづきは後日執筆予定

ウ-1 アビガン

ウ-2 オルベスコ

ウ-3 トシリズマブ

ウ-4 レムデシビル