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2022年9月11日 株情報

2022年9月11日 株情報
(2022年9月11日執筆)


【今日のチャート分析】
・上昇トレンドチャネルについては、渋谷高雄大百科第5章第6項等を参照

・下降トレンドチャネルについては、渋谷高雄大百科第5章第13項等を参照

・トレンド転換のシグナルについては、渋谷高雄大百科第3章第7~8項(P135~139)等を参照

・W底については、同大百科第5章第3項等を参照

2022年8月1日 株情報

2022年8月1日 株情報
(2022年7月31日執筆)


【カギその1 続報】インフレピークアウト数値出現の2

ここ数か月の株情報において、余剰キャッシュの再投入タイミングを伺う機関投資家群が重視している注目指標の中でも最重視項目と分析されるのが、ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」(6月27日株情報【1-1】、及び7月19日株情報【1-1-1】参照)と、消費者物価指数(CPI)の中でもコアCPIの「前月比」動向(6月27日株情報【1-2】、及び7月19日株情報【1-2-1】参照)の2点でした。そして先日の日本時間7月29日23時、まずミシガン指数の確定値が公表されました。さっそく見ていきましょう。

【1-1-2】ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」確定値

ア 注目の7月確定値は2.9%(速報値2.8%)

速報値よりも0.1%の上方修正です。よって、前月の確定値3.1%から0.2%の低下が確定しました。

イ 今後の展望

これまでの機関投資家の見解では、この指標の0.2%の上昇が「ゲームチェンジャー」と評されるほどのネガティブサプライズであったことから、反対に今回の0.2%の下落という数字は「逆ゲームチェンジャー」という解釈もできることになります。実際にロイターの報道では「今回の結果は、物価が長期的にさらに上昇するとの消費者の見方が定着していないことを示すものとしてFRBから前向きに受け止められそうだ」と解説されていました。つまり株価には好材料です。前回の本項目において、ダウ、ナスダック、S&P500指数の各チャートが典型的な底値反転型のパターンを示現しつつあると述べましたが、その後も続伸しているのは、こうした指標を先読みした機関投資家群が買いに転じていることを暗示させるものです。

【本年残り5カ月の展望】

こうなると、個人投資家最大の関心事は「株は今こそ買い時なのか? そして本当に買いならば、今からであればセクターはどこがいいのか?」という一点に集約されると言えるでしょう。ここで真っ先に思い出されるのが、調査会社ネッド・デービス・リサーチの分析です。これは、これまでの本コーナーにおいて、6月3日株情報【Ⅱ】需給動向【21】③、及び7月4日 株情報【2-10】で解説しているものです。つまり、今こそが最終第4段階(ブレドス・スラスト)のクラスター発生場面を迎えつつあるのかどうか?ということになります。これを見極めるために、本年度に執筆してきた本株情報の中から、今こそ再参照すべきと筆者が考えた各項目を再抽出して、以下に再検証していきましょう。

再抽出した項目は、体系的に整理してみると、おおよそ以下の内容ごとに分類できると思います。

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ア 機関投資家は、トレンドが買い転換したと考え出したのだろうか?

イ 機関投資家の、リセッションの度合いの許容範囲はどの程度なのか?

ウ 機関投資家の、企業業績の許容範囲はどの程度なのか?

エ 機関投資家は、余剰キャッシュの投入タイミングをどう伺っているのだろうか?

オ 機関投資家は、ショートポジションをどうする予定なのだろうか?

カ そして、機関投資家の言う「秋の真の問題」の見通しはどうなりつつあるのだろうか?


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【今日のチャート分析】

・上昇トレンドチャネルについては、渋谷高雄大百科第5章第6項等を参照

・下降トレンドチャネルについては、渋谷高雄大百科第5章第13項等を参照

・トレンド転換のシグナルについては、渋谷高雄大百科第3章第7~8項(P135~139)等を参照 ・サポート、レジスタンスについては、渋谷高雄大百科第3章第4等を参照

2022年7月19日 株情報

2022年7月19日 株情報

(2022年7月18日夜間執筆)

【カギその1 続報】インフレピークアウト数値出現

ここ数か月の株情報において最重要の注目指標に躍り出たのが、ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」(6月27日株情報【1-1】参照)と、消費者物価指数(CPI)の中でもコアCPIの「前月比」動向(6月27日株情報【1-2】参照)の2点です。これらはパウエルFRB議長をして「強く目を引く統計だった」と言わしめ、6月の75bpの利上げを決定する主因になったからです。そして今月、それら指標の新たなデータが公表されました。さっそく見ていきましょう。

【1-1-1】ミシガン大学消費者マインド指数「5-10年長期期待インフレ指標」関連の続報

ア これまでのまとめ

6月27日 株情報【1-1】において詳しく解説していますが、重要なポイントを以下にまとめました。

ア-①

6月9日から17日に至るS&P500種株価指数の約4100ポイントから3650ポイントに至る7営業日の急落のファンダ的原因は、米ミシガン大学が6月10日に発表した「5-10年先の長期期待インフレ率」の「速報値」が3.3%だったことで、FRBがこれをインフレ急加速のシグナルと解釈する危険が高いとみなされたから。機関投資家野村証券の解説によると、この6月の速報値プラス3.3%は5月の同3.0%から上振れたので、株式市場にとって不意打ちかつ明確な悪材料となったという。なぜならこの指標はコロナ禍にあっても最大で3.1%にとどまっていたので、一部のFOMCメンバーに「インフレ率はいずれ自然に低下する」という見方をさせる重要な論拠になっていたからだ。しかしこの上振れにより、FRBはインフレを鎮静化させるために大幅利上げで景気をリセッションに追い込むのをやむなしとする悲観シナリオが勢いを増した。また、機関投資家ジェフリーズは、この3.3%という数字を「ゲームチェンジャー(状況を一変させるもの)」と表現した。

ア-②

ところが、実に14年ぶりの高水準となっていたこのインフレ期待の速報値3.3%が、確定値で3.1%に下方修正されてしまった。よって結局は、5-10年長期期待インフレ6月確定値3.1%という数字は、コロナ禍最大値3.1%とギリギリ同じだったことになり、「ゲームチェンジャー」という言い方は大げさだったことになるが、かといって土俵際であることに変わりはないとも言えるだろう。

イ 注目の翌7月の速報値が2.8%に低下

ミシガン大消費者マインド指数では、米消費者の「5-10年先の長期期待インフレ率」が7月初旬にエコノミストの予想以上に低下しました。前月の3.1%から低下して2.8%となり、昨年7月以来の低水準となりました。

ウ 今後の展望

これは予想外に下がった印象です。しかもまた、今後の確報値で下方修正される可能性も大いにあるわけで、現場のトレーダーとしては「こうなると迂闊には売れない」という感覚になるでしょう。また、ダウ、ナスダック、S&P500指数の各チャートも典型的な底値反転型のパターンを示現しつつあるので、6月27日株情報【1-2】で述べたように「当時に打診買い+今回CPI通過で第2次買い」というメインシナリオに現時点では修正はありません

【1-2-1】コアCPI(変動の大きい食品とエネルギーを除いた指標)が「前月比」で低下するかどうかの続報

ア これまでのまとめ

6月27日 株情報【1-2】において詳しく解説していますが、重要なポイントを以下にまとめました。

ア-①

2001年9月米同時多発テロ以来の過去最高レベルにまで積み上がった余剰キャッシュ(6月3日 株情報【Ⅱ】需給動向【17】⑥参照)を抱えたまま様子見を続け、その再投入タイミングを伺う機関投資家の総意としては、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIが「前月比」で低下することが重要だ。なお5月分(6月発表)は前月比で0.6%の上昇だった。

ア-②

しかし、過去3回のインフレ持続予想を的中させて、約1年前にアメリカで高インフレが長引くことも的確に予測したブルームバーグのコラムニストであり著名な債券市場ストラテジスト、モハメド・エラリアン氏は6月の「前月比」上昇率は5月よりも悪化すると予想していた。つまり、前月比0.7%以上の上昇が見込まれるということになる。同氏の過去の的中率の高さを考えれば、7月発表の次回数値の悪化の可能性は極めて高い。

ア-③

よって、7月CPIでヘッジファンドに大規模な売り仕掛けを6月同様に再度かけられる危険性が大いにありうる。しかし、すでにチャートには織り込み済みかもしれない。

イ 注目の今回7月公表の6月分のコアCPIは「前月比」で0.7%上昇(エコノミスト事前予想中央値0.5%上昇)

エコノミスト予想が外れ、少なくとも悪化するというエラリアン氏の予想通りの結果になりました、見事という他ありません。

ウ 今後の展望

しかし、エコノミスト群も外したとはいえ、0.5%という予想を出してきたこと自体には大いに注目すべきでしょう。なぜなら、エコノミストが前月比低下という予想を出してきたことの意味するものが、ついに機関投資家の総意がインフレピークアウトに傾いたことを暗示していると解釈できるからです。さらに今回の0.7%という上昇率もギリギリ前月比わずか0.1%の上昇でしかない上に、エラリアン氏は次回の8月でさらに悪化するという予想を出していないのです。それどころか同氏は相場が底を打ったというニュアンスの詩的なコラムを7月6日付けで出してきたのです(このコラムについては、ブルームバーグの記事から「信じないと思うが市場に光る希望の三つの兆し」というタイトルで各自検索してみて下さい)。今回のCPIでは、前回と違って株価急落といった事態には至りませんでしたが、すでにチャートに織り込まれていたということでしょう。また、このCPIの結果以降、機関投資家のトーンが大きく変わってきた印象も受けるのです。以下に箇条書きで整理しました。

ウ-① 各エコノミストの見解の平均像

商品相場がこの数週間に下げていることもあり、6月がCPI上昇の頂点になる公算が大きい。燃料価格は7月に入って上昇が緩和し始めており、7月CPIから鎮静化に向かうことが示唆されている。また、依然として高水準とは言え、小売り在庫の高まりによる値引きや中古車価格の落ち着きを背景にインフレ率が多少鈍化する態勢が既に整いつつある。

ウ-② 分析サービス会社インフレーション・インサイツ

FRBが望むコアCPI鈍化の始まりが6月だという当社の見立て通りなら、当局者の発言はすぐに9月の0.5ポイント利上げの方向に切り替わり、その後は年末にかけて0.25ポイントにペースを緩める声が増えるだろう。

ウ-③ 投資調査会社22Vリサーチ

「非常に悪い」と表現できるが、輸送と商品の価格はこの先下がると予想されるので、来月のCPIは低下する可能性が非常に高い。

ウ-④ 機関投資家ナショナル・セキュリティーズ

細部に目を向けると、実質平均時給が前年比で下がってきており、賃金と物価の上昇圧力が緩和しつつある事実を示す良い要素だ。投資家はこの統計が過去のものであり、インフレ圧力の一部は6月から緩和したことを示す明白な証左だと言い始めるだろう。

ウ-⑤ 経済調査会社キャピタル・エコノミクス

予想以上に上昇し、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での75ベーシスポイント(bp)追加利上げは決定的となったが、商品価格がその後急落し、賃金上昇率もここ数カ月は緩やかになっていることから、先行き見通しは1カ月前ほど暗くはない。

ウ-⑥ 機関投資家アメリプライズ・フィナンシャル

投資家は、より高い数字が出ることを想定しており、現時点でこの水準であるということはインフレがまだピークに達していないことを示している。市場はインフレのピークがいつかを見極めようとしており、それは7月かも知れない。

ウ-⑦ 機関投資家BMOキャピタル・マーケッツ

インフレは鈍化しているどころか、加速しており、7月のガソリン価格低下や伝えられている小売りの値引きは物価上昇の勢いを抑える一助になるだろうが、家賃を中心にコア指数に見られる広範な圧力はインフレがまだしばらくはピークに達しない可能性があり、根強い高水準が想定以上に長期化する可能性も示唆している。

ウ-⑧ 機関投資家野村証券

CPIに関して、高い数値が織り込まれていた、あるいは今回がピークとマーケットはみている可能性がある。

ウ-⑨ 分析サービス会社ムーディーズ・アナリティクス

労働省のデータは他の推計より遅れて実態が示される傾向があり、家賃値上がりが年内のCPI上昇の要因となる可能性が高い。CPI統計が示す家賃が大きく伸びたが、市場ではすでに一貫して2桁の伸びとなっており、これに追い付こうとしている。すでにこれ以上高い家賃を払える余裕のない借り手が敬遠しつつあり、マーケットで家賃が天井を付けつつあるようなのは朗報だ。

ウ-⑩ シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)

7月11日 26.17ポイント
7月12日 27.29ポイント
7月13日 26.82ポイント
7月14日 26.40ポイント
7月15日 24.23ポイント

ウ-⑪ 機関投資家モルガン・スタンレー

アメリカが深刻あるいは非常に厳しいリセッション(景気後退)に陥る可能性は低い。当社は大半の事業において「米国ロング」である。

ウ-⑫ 投資調査会社ブルームバーグ・エコノミクス

総合PPIの数字は大幅な上昇だが、中身を見るとインフレ圧力が若干緩和した兆しも一部に見え始めており、川上から川下へのインフレ圧力が極めて緩慢にではあるが、明確に緩和していることが示されている。

ウ-⑬ 資産運用サービス会社ウェルススパイア・アドバイザーズ

景気後退はあるだろうが緩やかなものだろう。重要なのは労働市場が引き続き堅調なことだ。雇用情勢を踏まえると差し迫った脅威ではない。

ウ-⑭ 機関投資家BMOキャピタル・マーケッツ

この日の統計で短期的なリセッション(景気後退)に関する臆測は後退する可能性がある。

ウ-⑮ 機関投資家インガルズ&スナイダー

今の経済指標には一貫性がなく、ポジティブだったりネガティブだったりするが、これは今が転換期であることを示唆している。

ウ-⑯ 住宅金融大手ネーションワイド

リセッションが浅いものとなれば、今後1年にわたり相場には上昇の余地がある。そこに至るまでの道のりは心地良いものではないかもしれないが、企業決算が持ちこたえられるなら、慎重ながらも楽観になれるかもしれない。

【今日のチャート分析】(※この原稿を執筆しているのが、7月18日月曜日の夜間アメリカ市場の開始前であることをご承知おき下さいませ)

6月20日の株情報で掲示したS&P500種日足半年チャートをご覧下さい。そこでは、短期的下降トレンドラインC2を上方ブレイクアウトした後に、上から再度C2に接近しているのは、レジスタンスラインとサポートラインの役割逆転のパターンなので強いサポート機能を果たすと予想しましたが、その通りの展開となりました。そして今、株価は下からC1に差し掛かっており、もしもこれを出来高の増加を伴ってブレイクアウトできれば、ようやく米国株でも新しい上昇トレンドチャネル(上昇トレンドラインレンジとも言う)の形成にこぎつけそうです。そして、新しい上昇トレンドチャネルの形成こそ、上記【1-2-1】ウ-⑮機関投資家インガルズ&スナイダーの「今が転換期」という分析がチャートに表れることになると言えるでしょう。
(●上昇トレンドチャネルについては、渋谷高雄大百科第5章第6項等を参照)

【安倍元首相の不慮の死について】

最後に、安倍元総理が凶弾に斃れたこと、本当に無念で悲しく残念な思いです。志村けんがコロナで亡くなられた晩もそうでしたが、その夜はあまり眠れませんでした。何度も何度も「安倍さん、どうしてすぐに伏せなかった・・なぜ??」と、どうしても考えてしまって寝付けないのです。最初の異音から次の銃撃まで3秒弱もあったならば、異音と同時にとっさに伏せていれば、それで1秒。伏せた姿を目にしたSPが我にかえってとっさに安倍さんに飛び掛かり覆いかぶさって2秒弱。合計3秒弱で、犯人の2回目の銃撃までの時間とほぼ同じくらいという試算ができます。よって助かった可能性が大いにあったと思うと、そればかり考えてなかなか寝付けませんでした。我々のようなイナゴ投資家が、安倍さんの死を無駄にせず教訓とするならば、「最悪の想定」と「それに対応した訓練」を日頃から意識して鍛錬を継続していなければ、いざ本当にオオカミがやってきた時に体は動かない、このことを学び直すべきでしょう。これは投資の道の根幹である「リスク管理」に大いに通ずるところがあると思います。要は、異音の原因を確認するのに3秒かけるのではなく、原因の確認は後回しで、突然の異音のような原因不明の突発事態発生となったら、毎回毎回全回、本人は即座に伏せて、SPは本人に覆いかぶさることに3秒かけた後で事実確認を行うべきだったのです。仮にこれがロシアや中国や北朝鮮での出来事なら、誰であろうと近寄ってきてカバンに手を入れた時点でSPに即時射殺される警護システムなのは間違いないはずです。つまりリスク管理を常に優先しているのです。この点、銀河英雄伝説という物語において、主人公ラインハルトが副官のキルヒアイスの銃携帯許可を取りやめた直後に暗殺者に襲われて副官を死なせてしまった事例に通じるものがあると思えます。ちなみにその物語では、犯人が死体の胃袋に隠していた銃を取り出して主人公に銃口を向けた時、副官以外の部下全員が1秒で状況を飲みこめなかった中で(つまり部下の中には百戦錬磨のミッターマイヤーやロイエンタールのような優秀な提督がいたが、彼らですらとっさの事態に、事実確認に最初の貴重な1秒を費やしてしまったということ)、副官キルヒアイスのみが0秒で犯人に踊りかかることができた理由は、副官には常に暗殺者を想定して油断がなかったからこそ、彼のみが0秒でとっさに体が動けたという結論に至るわけなのです。本来なら犯人は、銃を構える寸前に副官の銃で射殺されていたはずなのですが・・・。安倍首相、最初の異音で「なんだ?」と振り返ってほしくなかったです、とっさに伏せてほしかった、心からそう思います。仮に異音が悪質なイタズラで、一部の心なき聴衆の失笑を買ったとしても、それが何度も繰り返されたとしても、必ず1秒で毎回毎回毎回伏せるべきなのが、国防はもとより、全ての人々の仕事ぶりにすら通じるのだということが、安倍さんの死と引き替えに学び直せたように思えます。心よりお悔やみを申し上げます。