2017/08

2017年8月14日 株情報


【解説】
北朝鮮を巡る地政学リスク再燃により、2万円前後の狭いレンジで滞留していた日経平均株価は下落して、前回の原稿執筆時点(7/13)において解説したレンジを下に突き抜ける形となった。
今回の下落は一時的なものなのか? それとも下降トレンドへの転換点なのか?
今は買いなのか? それとも売りなのか?
非常に判断に迷う・・・
日経平均のチャートを見てみると、前回(7/13)において解説したピンク色の2本の上昇トレンドチャネルを下に突き抜けてしまった形となっている。
これが買い方の立場であれば、「すわ、急落発生か?」との不安が頭をよぎる。
なぜなら往々にして、上昇トレンドライン割れは株価の急落につながる事例が多いからだ(渋谷高雄株式投資大百科第1章第3項「チャート事例集1-3-2」等にて解説)。
かといって慌てて売り急ぐわけではなく、判断に迷ったらチャートの表示期間を長くしたりして、別の角度から「見えていないものを見る」ような労力をかけることも必要だ。
(同大百科 第3章第3項「トレンドラインを引くときの注意点 勝負の分かれ目」等にて解説)
すると、本日原稿執筆時点において(8/14)、株価はいまだに青色の大局的な上昇トレンドライン上で踏みとどまっていることが分かる。
つまり、短期的なピンク色の上昇トレンドラインから下に割れたが、より長期的な大局的青色の上昇トレンドラインでは支えられていることになる。
買うチャンスのような気もするが、かといって「落ちるナイフ」をつかむのも怖い。
そう迷いながらマーケット研究をすすめるうち、ドル円のチャートでいくつかのポイントを発見した。


ドル円については、4月12日執筆分本原稿ですでに述べたように、両者の動きは密接に連動しており (同大百科 第6章マーケット研究第3項の1「為替」及び同第5項の1「現状の理解」で解説)、
予想通りにブレイクが発生し、緑色の短期的な下降トレンドラインを上に突き抜けると、その後約4か月の期間を経て、今度は114円前後のレジスタンスと、109円前後のサポートに挟まれたレンジを形成した。
そして今回も前回原稿執筆時同様、緑色の短期的な下降トレンドラインを形成している。
日経平均だけで判断に迷う場合、密接に連動するドル円のポイントで判断する手法も時に有効だ。
つまり今回も前回同様に、ドル円がトレンドラインを上に突き抜けたら、それを見計らった上で買い出動するのである。

しかし、もしも・・

北朝鮮の指導者が、グアム島沖合めがけて弾道ミサイル4発発射のボタンを押し、
激高したアメリカの指導者が「限定的反撃」の決断を下し、北朝鮮のミサイル発射基地や、北朝鮮指導者の抹殺を狙って居場所と思われる地点の空爆に踏み切ったら・・・
そして北朝鮮軍がソウル無差別砲撃を開始したら・・・
韓国軍が復讐に燃えて反撃したら・・・
中国軍が介入してきたら・・・
どさくさにまぎれて、なぜかロシア軍が介入してきたら・・・
片方が「限定的反撃」と思っても、相手が「全面戦争」と思ったら、戦争はエスカレートしてしまうのである。
やぶれかぶれになった北朝鮮の指導者が、日本の各大都市に向かって弾道ミサイルのオールレンジ攻撃(一斉発射)のボタンを押したら・・・
そのうちの1発、2発に核弾頭が装備されていたら・・・

歴史には常に「If」がつきまとうが、最悪の「If」に備えて、株の全力買い、すなわちポーカーでいうところの「オール・イン」のような真似だけはしてはならない。
それは本稿執筆者の渋谷自らの過去の苦い経験による(同大百科 第1章第5項「私が市場から退場せずに済んだ理由」参照)。