2018/11

2018年11月12日 株情報

前回(10月19日)の原稿で以下のように述べましたが、

いずれにせよ、このタイミングで当初のメインシナリオを修正する必要が生じたのです。
経験を積んだ中上級者であれば、当面は各個別株ごとに、買いや空売りを混合させながら、それぞれチャート分析に乗っ取った個別シナリオを、資金管理を重視しながら対処していく局面だと考えます。
初級者の方は、ダウや上海や日経平均の指数チャートがもう少し落ち着くまで待つのも仕方ないでしょう。

前回の原稿執筆からおよそ約1か月が経過して、各チャートにようやくヒントが垣間見えるようになってきました。
この間私は前回に述べていた通り、個別株の短期スイングトレードに徹していました。
(スイングトレードについては、その大要や根幹思想については渋谷高雄株式投資大百科第10章各項や、技心研ホームページ大百科購入に関するQ and Aの「日銭を稼ぐよりスイングトレード」の部分を参照。また個別解説については同大百科各事例を参考に)

日経平均は現在、直近10月の高値24448円から安値20971円まで下落幅3477円の下げを演じた後、多くの個別銘柄で「底値反転」のチャートパターンが出現して(底値反転のチャートパターンについては、同大百科第5章第2項を参照)、その後の戻り高値22583円と安値から1612円戻して、チャート分析で言うところの「半値戻し」をほぼ達成しました。(半値戻しについては、同大百科第9章第4項の3を参照)

また、ダウやナスダックについても、多少の値幅の違いはあれど似たようなチャート形状になっています。
さて、問題はここからどちらに動くのか?
非常に判断に迷う場面です。

そのような中、上海のチャートには分かりやすいヒントが見てとれます。

皆さま、掲示した上海総合指数日足チャートをまずはご覧下さい。
2本の青色マーカー(上限線と下限線)で示したのが期間約1年にわたる大局的な下降トレンドチャネル(下降トレンドラインレンジとも言う)です。
(下降トレンドチャネルについては、同大百科第5章第13項を参照)
最大の着眼ポイントは、上海株価の今後の動きが、

【シナリオA】
上限線を上方ブレイクアウトして株価が上昇していく
(類似事例として、第5章第13項及びそのチャート事例5-13-1を参照)

【シナリオB】
上限線で跳ね返されて、下限線に向けて株価が反落する
(類似事例として、同大百科11ページチャート事例1-3-3や、第1章第4項等を参照)

このどちらになるのかを見極めることが、今年残りのトレード成績を左右するカギとなることでしょう。

【A】の展開であれば、ダウや日経も同時に反発上昇が継続していくと考えられ、

【B】の展開であれば、ダウや日経も再び安値に向かって落ちていくと考えられるからです。

以上が日足チャートにおける今後数週間〜1か月の期間での予想ですが、では、もっと長い期間の月足チャートレベルではどのようなチャート分析が見てとれるでしょうか?

今回の原稿では上海株価チャートを主に分析したのですが、それについての各種情報を検索しているうちに、ちょっと気になることがあったのです。
そのキーワードとして、

・金融庁 中国金融研究会
・2018年10月5日(これは間の悪いことに、前回原稿でも述べたペンス副大統領の今後の対中国共産党政策についての演説の翌日です)に事務局を金融庁とした「中国金融研究会」が開催された

等で検索すれば参考になるサイトや紹介が出てきます。
それらを調べた上で、私が気になった点をいくつか箇条書きにしました。

(1)金融庁が主催する「中国金融研究会」というものが存在する

(2)その研究会に結集したのは、
座長の宮本雄二氏(昨年、「強硬外交を反省する中国」という書籍を出版されています)をはじめ、
野村、大和、三菱UFJ、大学教授などから錚々たる面々、
民間金融機関からは大手銀行、証券、保険会社が出席。
さらにオブザーバーとして財務省、日銀、JPX、投資信託協会などが出席

(3)その研究会では、中国本土債券市場が「ラストリゾート」として注目されていると賛美され、中国債権(社債や証券化商品)の売り込みが行われた。
他国よりも高い利回りや中国側の向こう3年間の税の免除がアピールされた。
その賛美のされ方が、ちょっとヒクくらいの煽り文句なのである。もしや中国共産党の対日工作要員なのではないか?と疑いたくなるほど・・
・中国は外債投資のラストリゾートである
・中国債券市場は今後、無視しえない存在となる
・主要な債券インデックスに中国債券が組み入れられた場合、年金マネーが中国債券市場へ流入するのは必然(中国債券市場は今まで為替・資本規制を背景に債券インデックスの対象外とされてきた)
・中国側のラブコールに応じて、日本金融機関はビジネス拡大のチャンスが到来していることを十分認識しなくてはならない
これではまるで、ニンジンをぶら下げて、実態は景気後退の深刻化と株価低迷にあえぐ中国金融商品を「ラストリゾート」と称して、
お人よしの私たち日本人の貴重な年金マネーや投信マネーを引き受け先として目を付け、売り込もうと必死絶賛の営業活動ではないか?

(4)10年国債利回りで、中国は魅力的であるとのアピール
中国 3.63%
米国 2.94%
豪州 2.58%
ドイツ 0.40%
日本 0.11%
(高い利回りとは、リスクが伴うから高いのでは?)

いかがでしょう?
これら(1)〜(2)の点と合わせて、今度は掲示した上海総合指数の「月足」チャート図のほうをご覧下さい。
ポイントとなる時期をそれぞれ赤い字体でAとB、そして現在をCとしました。
特に苦い教訓として忌まわしい記憶に残っているのがAです。
このAとは、「上海大天井の教訓」と言え、これは2007年10月16に上海市場が大天井を打った直後の2007年10月23日に「1309 上海株式指数投信」が日本市場に上場されたことが思い出されるのです。
その後の大暴落に巻き込まれたのはチャートの通りです。
まさに最悪のタイミングでした。

次にB。
これは当技心研ホームページの「大百科購入に関するQ and A」コーナーの中より、「日銭を稼ぐよりスイングトレード」をクリックして頂ければ、
「【1】2015年夏のチャイナショックでの渋谷の思考」の部分で以下のように述べています。

2015年の冬も終わり、春が訪れたものの、まだ寒さも残る日々、私はニュースで中国の個人投資家の浮かれた姿を見ました。当時の上海株式市場は急騰を続けており、満面の笑顔で「たった1日で、給料の何倍も株で儲かるんです。これは共産党政府からの私たち人民へのプレゼントなんです!」と生真面目にコメントしていたのを見て、思わず失笑しましたが、同時に例の靴磨きの啓示を思い起こしたのです。

そしてこれまた、その後に大暴落の雪崩が起きました。
ニュースに出ていた個人投資家は一体どうなったのでしょう?
彼のセリフをそっくりそのままひっくり返せば、怒り心頭で
「たった1日で、給料の何倍も株で損するんです。これは共産党政府の私たち人民からの搾取なんです! だから共産党1党独裁はダメなんですよ、中国本土も台湾のように民主化しないといけません!」
というコメントになったのではないでしょうか?(笑)

そして現在、C。
1か月ほど前の10月4日、ペンス副大統領による今後の対中国政策についての演説(内容は前回原稿で詳述)が行われ、
さらに10月20日、トランプ大統領が旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を表明したのは記憶に新しいところです。
トランプ政権は条約破棄の理由として中国人民支配軍のミサイル大増強を挙げており、複数の米軍高官は今回の米国の動きに関連して、「もし中国がINF条約に加盟していたとすれば、いま中国が保有する全ミサイル約2000基のうち95%相当が条約違反となる」と言明したのです。
つまり中国は、INF条約が禁止する1900基もの中距離ミサイルを保有・配備しているわけです。

さらに米国議会で安全保障問題に精通するトム・コットン上院議員(共和党)は10月21日、次のような声明を出しました。
「米国のINF条約破棄の真の理由は、ロシアよりも中国の行動だといえる。中国は中距離ミサイルに関して制限は皆無である。
そのため多数の中距離ミサイルを配備して、米国やその同盟諸国への大きな脅威となってきた。一方、米国は地上配備の中距離ミサイルはゼロであることを強いられてきたのだ」 と。

さらにさかのぼって今年(2018年)3月の上院軍事委員会の公聴会では、ハリス太平洋統合軍司令官(当時)が以下の骨子を証言しています。
「短距離弾道ミサイル(SRBM)は台湾と米海軍空母機動部隊の海上活動を標的とし、準中距離弾道ミサイル(IRBM)は日本国内の米軍基地とグアム島を主要な標的としている。この脅威を抑止するには米軍も中国本土に届く同類のミサイルを配備することが必要である。だが、INF条約のために地上配備の中距離ミサイルはまったく持てず、中国軍との戦力の均衡を大きく欠いてきた」

ハリス司令官はこのように証言し、INF条約が東アジアでの米国対中国の中距離ミサイル戦力の極端な不均衡をもたらし、米側の対中抑止力をなくしたことに対して警鐘を鳴らしてきました。
それが今後は、アメリカ軍も中距離ミサイルを自由に保有し配備できるようになります。
本来は日本の自衛隊も配備すべきなのでしょうが、現状の世論ではすぐには難しいでしょう。
当面はアメリカ軍を頼るほかなく、しかしこれでアメリカ軍は対中国の中距離ミサイル戦力を備えることがようやく可能になったのです。

これら一連のアメリカの行動から推定されるのは、ずばりアメリカの決意とは、
【たとえ世界経済の景気が減速しようとも、今ここで中国共産党の一党独裁支配体制を終焉させ、中国に民主化をもたらさねば、習近平はいずれヒトラーやスターリンのように手がつけられなくなる】
という可能性が大いにある、ということです。

そして今、チャートのCの位置。
仮に今後、米中対立が激化して世界経済がさらに減速した場合、今のこの下げトレンドが急加速するシナリオはあり得ます・・
つまりチャート分析の基本セオリーからすれば、今はまだ中国債権(社債や証券化商品)を買う場面とは言えないのです。

しかも上記のように、買わせようとしている勢力の買い煽り文句はまるで、仕手株を進めてくる怪しげな仕手筋とほとんど変わらないセールストークなわけです、だって「ラスト・リゾート」ですよ(笑)
まさか、違う意味での「ラスト」じゃないでしょうね?(笑)
私がチャート図に書き込んだコメントの通りで、ここで中国の金融商品を私たちの大切な年金マネーや投信マネーに組み込もうとするとか、もう嫌な予感しかしません・・・

とにかく金融庁には、調子のいい買い煽りにのって(それが中国共産党の対日工作活動の一環である可能性もあるわけですし)、私たちの年金や投信の貴重なお金を、地球最後の悪の一党独裁体制・中国共産党、最終終身独裁者・習近平の延命治療のために無下に消耗されるのだけはどうにかしてやめてほしいものです。
チャートのポイントAを見れば分かる通り、日本のマネーが最後のババを引かされた苦い教訓があるのです・・・
そんなことばかり繰り返してるから、投信が買われず残高が減少し続けているのではないでしょうか?

記憶に新しいのは、投信の残高が増加していたという統計が完全なる誤報で、実態は減少の一途をたどっており、金融・証券関係者がそれに大きな衝撃を受けた、という報道もありましたよね?
こんな投資(投機?)ばかりしていれば、不信もつのるというもの。
ニーサだって笛吹けど踊らず感でしたし、「貯蓄から投資へ」という大号令がもはや虚しいです。
せめて中国共産党の一党独裁支配体制の延命に手を貸すような投資を、日本人の年金マネーや投信マネーから振り向けるのはやめてほしいものです。
それにアメリカによる中国共産党の打倒が本当に成就したら、これらの中国金融商品への投資が紙くず化する恐れはないのでしょうか? 心配にもなります。

それに中国株は急落すると理由が曖昧なまま売買停止となることが多々あるというのです。
以下にリストが載っています。
http://www.naito-sec.co.jp/chinap/ch_stop_ago.aspx

中国共産党も、株価が上がっている時の人民の声が
「たった1日で、給料の何倍も株で儲かるんです。これは共産党政府からの私たち人民へのプレゼントなんです!」
というものなのであれば、反対に暴落したら人民の声が
「たった1日で、給料の何倍も株で損するんです。これは共産党政府の私たち人民からの搾取なんです! 人民は共産党に騙されています、だから独裁政治体制はダメなんですよ、中国本土も台湾のように民主化しないといけません!」
と、必然的にこうなりますよね?

それが人民の共産党独裁体制への不信につながることを恐れ、だったらいっそのこと、下がりそうな銘柄は全て売買停止にしてしまえ! という挙に出ているのでしょうね。
こんな市場が「ラストリゾート」?
リゾートなどではなく「冥界への入り口」の間違いではないでしょうか?(笑)

少なくとも私たち個人トレーダーは、月足チャートでも底値反転のサインも出ていないことですし、日足チャートレベルで上記シナリオAの展開が見えてからの打診買い出動で十分でしょう。
ここで中国金融商品をラストリゾートと勘違いして、いきなり全力買いというのは、底値反転チャートパターンがいまここで出現することに賭けるということであり、資金管理の観点からも好ましくありません。

最後に、上記に出てきた「強硬外交を反省する中国」という書籍ですが、タイトルを聞くだけで思い浮かぶのは、
ペンス演説の、
・中国共産党の「改革開放」は口先だけ
・最終終身独裁者・習近平は2015年にホワイトハウスで、南シナ海を「軍国主義化する意図はない」と発言したのに今日、人工島に建設された軍事基地に対艦ミサイルと対空ミサイルを配備した大ウソつきである

という部分ですね。
中国共産党の口先だけの言い訳は一切信用なりません、
少なくともそうですね、例えばジャイアン丸出しのずうずうしさ極まりない例の九段線(笑)を撤回するなどといった「行動」が伴っていなければ、口だけの反省など到底信用してはいけないのは言うまでもありません。
最近また、アメリカの航行の自由作戦に抵抗しているようですし、相変わらず尖閣諸島の日本領海への挑発侵入を繰り返しています。
そうした信用できない政府の信用できない市場の金融商品を買う行く先が「最後のリゾート」であるはずがなく、「お金を失う最後の地獄」が待ち受けているとしか思えないですね。