2019/12

2019年12月8日 株情報


【解説】
長きにわたり株情報の執筆ができなかったことを改めてお詫び申し上げます。

詳細は割愛しますが、本年6月に渋谷高雄執筆の株式投資大百科に対する著作権侵害状態が発生し、その対応と解決のために莫大な労力と時間を割く必要が生じました。
結果として解決まで長い時間がかかりましたが、11月5日のお知らせでも告知したように、渋谷高雄株式投資大百科に対して知的財産権上の権利と保護が認められたものです。

さて、10月31日のお知らせで「情報更新不可期間のうちに世界情勢には大きな変化が起きつつあり、来年の展望もまた驚きの展開に満ちあふれていそう」と述べました。
まずは何より、世界が注目する目前最大のイベントが1週間後の12月15日に迫った対中追加関税第4弾の発動か否かであり、
【A】撤回されるのか?
【B】発動されるのか?
【C】それとも当面の延期とされるのか?
この3つの中の、どの選択肢となるかでありましょう。
ホワイトハウスと中国共産党の間で、最後の熾烈な駆け引きが展開されている模様です。

そこで順を追って、現状のチャート分析をしていきましょう。
今回使用するのは、以下4点のチャートです。

①ニューヨークダウ 週足10年チャート

②日経平均 週足10年チャート

③ニューヨークダウ 日足2年チャート

④日経平均 日足2年チャート

まず、①のニューヨークダウ 週足10年チャートをご覧下さい。
最近、「業績回復期待相場」というキーワードをよく聞くようになりました。
その意味するところは、中国共産党政権への関税制裁によって中国企業の業績が悪化してその仕事が減った分、アメリカ企業に仕事が回ってその業績が急回復し、今後もさらに良くなっていくであろう、という期待です。
これはまさに、トランプ大統領の選挙公約でもある「アメリカン・ファースト」の公約実行の一環であるとも言えるでしょう。
このチャートでは、過去に三角もち合いAが形成されて上方ブレイクアウトが発生してから、オレンジ色で示した約1年強にわたる適温上昇相場が2017年に形成されたことが分かります。
(渋谷高雄株式投資大百科 第5章第5項等を参照)
そして現在も、新たに三角もち合いBが形成されて上方ブレイクアウトが発生しつつあると見てとれ、今後も企業業績が良くなっていくというファンダ的支援材料もあるならば今後も2017年と同じような適温上昇相場が1年くらいは続くのではないか?という期待には確かに現実味があります。
よって今回は、この適温上昇相場入りの展開をシナリオ【A】とします。特に上の【A】で述べたように、目前に迫った対中追加関税第4弾が米中通商交渉第1段階の合意により撤回されれば、さらにこのシナリオ【A】入りの可能性が濃厚となるでしょう。

次に②の日経平均 週足10年チャートをご覧下さい。
形は違うものの、ダウと同じように大局的には上昇トレンドにあると見て取れます。
まず特徴的なのが、ピンク色のラインで示した「アベノミクス長期上昇トレンドライン」が存在することです。
(渋谷高雄株式投資大百科 100ページ【トレンドラインを引くときの注意点】等を参考)
そして、ダウの三角もち合いAの形成と同じ時期に、日経でも下降トレンドラインAが発生しており、それを上方ブレイクアウトしたことでダウ同様日経でも過去の2017年に適温上昇相場が発生したのです。
引き続き現在も、新たに下降トレンドラインBが形成されていたところにアメリカと連動して上方ブレイクアウトが発生し、今に至るまでの上昇トレンドを形成しています。
そして日本においては、企業業績は最悪に近いけど最悪ゆえ、もうこれ以上は悪くなりようがないのではないか?という期待感がファンダ的支援材料と見なされ、いわば2003年頃に発生した「業績底打ち期待相場」と同様の展開で今後も上昇トレンドが1年くらいは続くのではないか?という見方ができるわけです。

このように、米中貿易戦争などの悪材料を考慮せずに大局的に週足長期チャートだけを見ると、上記で述べたシナリオ【A】がメインシナリオと思えるのです。
では次に短期の視点でチャートを見てみましょう。
③のニューヨークダウ 日足2年チャートをご覧下さい。
今年に入って以降、青色で示した上値抵抗チャネルラインCと赤色で示した上昇トレンドラインDに挟まれた上昇トレンドチャネルが形成されてきたことが分かります。
(渋谷高雄株式投資大百科 32ページチャート1-6-3-2や、第5章第6項等を参照)
そして基本的な解釈として、
1.トランプツイートや中国共産党の大本営発表で、米中協議が順調そうであったり、合意が近そうだと世界が期待を高めている間は、株価はラインCに向かう動きをする
2.ところが結局は決裂して関税発動などの結果が明らかになると、株価は高速でラインDに向かう動きをする
3.株価のラインD付近では、トランプツイートや中国共産党による不安火消し発表や再進展期待を高めるリップサービスが盛んになり、株価は再度ラインCに向かい始める、以下、この繰り返し
といったものになります。
ということは、今まさに最後の激烈な駆け引きが展開されているであろう米中通商交渉第1段階の結果次第により、
目前の12月15日に迫った対中追加関税が上記【A】(撤回)もしくは【C】(延期)であれば、ダウの株価はラインCを上方ブレイクアウトして株価上昇が加速する可能性が高く(つまり、上記で述べたシナリオ【A】の展開となる)、
反対に【B】(発動)の結果であれば、これまでの傾向から株価は再びラインDに向かって高速下落する可能性が高いと想定できるわけです(これをシナリオ【B】としましょう)。

そして最後に、④日経平均 日足2年チャートをご覧下さい。
青色の下降トレンドラインBを上抜けした後、ピンク色の短期上昇トレンドラインに沿って、株価は因縁のペンス・レジスタンスライン(2018年12月18日株情報 チャート⑤のポイント④参照)に差し掛かり、三角もち合いを形成していることが分かります。
そして、結局はこの日経も上記③のダウに連動して、シナリオ【A】の展開であれば、ペンス・レジスタンスを上方ブレイクアウトして過去の適温上昇相場のような展開になり、シナリオ【B】の展開であれば、短期上昇トレンドラインを下方ブレイクダウンして、ダウがラインDまで下がるのに連動する展開、という想定ができるわけです。
なお、上記②の日経平均 週足10年チャートのところで、ダウがシナリオ【A】の展開の場合、2003年頃に発生した「業績底打ち期待相場」と同様な展開になるかもしれない、と述べましたが、それは一体、どのようなものだったのでしょうか?
当時、ネットバブル崩壊後の業績低迷にあえいでいた日本企業でしたが、銀行への公的資金注入などをきっかけに、企業業績は現状最悪だけど、最悪ゆえに、これからは復活していくしかない、という期待感が急速に広がり、
日経平均は2003年4月末に安値約7,600円を付けた後、急速な底値切り返しチャートパターンを示現して、
(渋谷高雄株式投資大百科 第5章第2項等を参照)
それ以降、約1年にわたり上昇トレンドが続き、それは2004年5月に約2週間で2,000円近い大暴落が発生するまでの間つづいたのです。
ただし上昇トレンドとはいっても、当時のチャートを見れば分かりますが、反落や、時には大きな急落が合計7回位は発生しており、簡単な相場でもなかったのです。
これは、来年のイベントの多さ(秋の米大統領選挙、ファーウェイ副社長引き渡し審理、香港問題、米中通商協議決裂リスクなど)からも、来年も2003年同様、上昇トレンドであったとしても一筋縄ではいかない相場が待っていそうです。

さて、未来のことは以上ですが、今は目前に迫った米中通商交渉第1段階が何らかの形で妥結され、12月15日予定の追加関税第4弾の発動が見送られるかどうか?に世界が固唾を飲んでいる、とは先ほど申しました。

一体、どうなるのでしょうか?
シナリオ【A】か、それともシナリオ【B】か?

そもそも驚くべきことは、トランプ政権による中国共産党一党独裁支配体制に対する制裁関税や各種制裁はこれまで何度も発動され、そしていよいよ来年1月20日からはファーウェイ副社長の引渡し審理が再開され、
それは大統領選挙の結果の出る時期あたりの結審が予定され、かつ引渡しされるのがほぼ確実な情勢の中でも(つまりそれは、トランプマンと最終終身独裁者:習近平がルビコン川を仲良く手をつないで共に渡ることを意味する)、
ニューヨークダウはチャート③のように上昇トレンドチャネルを形成したのに対して中国上海市場は低迷にあえいだまま、ということは、ニューヨーク株式市場は米中貿易戦争の激化による世界経済減速を先取りすることよりも、
貿易戦争による中国企業の業績悪化が、皮肉にもそっくりそのままアメリカ企業の業績上昇につながっているという「アメリカン・ファースト」政策を好感している、ということでしょう。
そして日経平均はニューヨークダウ・ナスダックに連動する傾向が強いため、
(渋谷高雄株式投資大百科 第7章第4項等を参照)
結局は日経平均も、チャート②のアベノミクス長期上昇トレンドラインを割りそうで割らずに、アメリカに連動して下降トレンドラインBを上方ブレイクアウトしたということでしょう。

トランプ大統領にはまだ減税カードが温存されていますし、中国共産党による悪の一党独裁政権を崩壊させて民主化に導くことがアングロサクソン・ユダヤの真の最終目標であったとしても、
まずは来年秋の大統領選挙で再選を果たすことが今の最重要優先事項ではあるので、その支援材料のためにも今回の米中通商交渉第1段階の合意はしたいはず、というのが株式市場のコンセンサスです。
そもそも、第1段階で決裂したら、自動的に第2段階以降は立ち消えになるわけですし、第1段階がまとまったところで、第2段階以降は中国共産党がとても容認できる内容ではないので、
トランプ大統領としては、再選を果たしてさえしまえば、ウイグルにしていることが結局はナチスドイツ・ヒトラーのユダヤ人弾圧と全く同じである悪の中国共産党独裁政権を崩壊させて民主化に導いた歴史に残る大統領になるべく、
再選後の残り任期4年は徹底して中国共産党が嫌がる政策を連発する可能性が高い。
だからこそ今の香港民主化運動を、三国志で言うところの「魏諷の乱」(以下、※)で終わらせないために、これだけは共和党民主党の党派を超えてアメリカ議会が一致団結して香港の民主化運動を支援しているのでしょう。
そして、ウイグルにもエールを送っているのも同様な動機であろうと推察されます。
経済が崩壊に向かえば、どんなに高潔な理想を民に説こうとも、結局は支持されなくなっていくのは韓国の文在寅・極左政権がよい例なわけで、今は再選のために、トランプは偽りの微笑みを習に送っているのでしょう。
もちろんそんな下手な演技は習近平に見抜かれているわけで、トランプがツイッターで「私は習主席と共にある」とつぶやくしらじらさに、習も内心では腸が煮えくり返っていることでしょう。
つまるところ第1段階の合意とは、中国共産党にとって落選させたくて仕方のないトランプの再選に手を貸すことと同然なわけで、習近平がそこをどのように考えているのかが12月15日にある程度見えてくるような気もします。

※魏諷の乱
魏の国の有力者のクーデターであったが、呉軍や蜀軍と密接に連動するわけでもなく、単発であったため、密告によりあっさり鎮圧されてしまった。
仮にもしこれが、周到に呉軍や蜀軍と連携して、魏軍主力が出払っている隙を突いてクーデターが成功していれば、遠征中の魏軍は立ち往生して、曹操一族ら魏の政権中枢は根絶やしにされていたかもしれない。
よって現時点では、来年秋に再選を果たす使命のあるトランプ大統領は、再選が決まってからなら中国共産党に容赦ない制裁ができるようになるため、それ以降の連携のために、それまでは香港デモ隊に生き残っていてほしいわけである。
反対に考えれば、最終終身独裁者・習近平としては再選なったトランプと香港デモ隊が連動を始めると面倒くさいことになるので、
できればトランプが再選を決める前に、小憎たらしい香港デモ隊など、天安門同様に人民支配軍の戦車隊で轢殺したくてしたくてウズウズ悶えているはずなのである。