2021/06

2021年6月20日 株情報

(2021年6月20日執筆)

前回の原稿執筆から30営業日が経過しましたが、その後の株価の動きがどうなったのか分析してみましょう。本原稿執筆時点において、ダウ533ドル安(▲1.58%)、ナスダック130ポイント安(▲0.92%)、日経平均先物510円安(▲1.76%)という状態であり、6月21日月曜日は軟調な展開でスタートすることが予想されます。果たして今後の株価の動きはどうなっていくのでしょうか?
まず、ニューヨークダウの日足チャートですが、6月4日に陽線が立って以降、実に10営業日連続で陰線が続いており、いよいよ今週は1000ドル級の大暴落が発生しそうなチャートに見えてしまうのも仕方のないところです。
(編集の都合上、ダウの日足チャートは今回の原稿では当サイトにおいて画像表示しておりませんので、各自証券ツールなどで確認をお願いします)
特に昨年の11月に28500ドルから29200ドルのあたりで「マド」が空いているので、いわゆる「窓埋め理論」により、これをいつかは必ず埋めるというのであれば、これから1000ドル級の大陰線が4連発でもして、あっという間に達してしまうのではないか?といった漠然とした不安もかすかに頭をよぎります。
次に、掲示したナスダックの日足チャートをご覧下さい。
不思議なのは、ダウが下がり続けた10営業日の期間中のナスダックの下げはたいしたことがないばかりか、ダウに反対連動して上がっている日すら散見されることです。ナスダックは先週の金曜日はダウ同様に下がりましたが、ダウがマド空け大陰線で下がったのに対し、ナスダックは前日木曜日の始値すら割っていない限定的な下げにとどまっています。これは、ダウを構成するセクターには売り圧力が強く、ナスダックを構成するセクターには一定の強い買い圧力が存在することを示しています。
(●セクターごとの循環物色については、渋谷高雄株式投資大百科第6章第2項等を参照)
これは意外です、なぜなら30営業日前に執筆した前回原稿において、『しかし気になるのは、ダウが新高値を更新して上昇トレンドが強力であるのに対し、ナスダックは新たに形成された抵抗線C(緑色のライン)によって上昇が阻まれ、いわゆるWトップのチャートパターンを形成しそうになっている』と書きましたが、このように今とは正反対の状況だったからです。いつの間にか入れ替わったということなのでしょうか? また、同じく前回の原稿において、『ダウが高値更新中である以上、出遅れ物色と称してナスダックもいずれ追随して上昇することがメインシナリオとなる』とも述べていましたが、30営業日後の現在、その予想通りの展開となっています。しかしながら一度、ハラハラする展開があったのです。掲示したナスダックの日足チャートを再びご覧下さい。5月上旬の★ポイントにおいて、下限上昇トレンドラインA’を割っているのです。これも前回原稿で述べていたことですが、『再びナスダックが下限上昇トレンドラインA’を割るとWトップのチャートパターン完成と言えるので注意が必要』と言っていたにも関わらず、ナスダックの株価は切り返してきたのです。なぜ? Wトップのチャートパターン完成であったのなら、セオリー通りにナスダックの株価は11500ポイント付近まで下がってもおかしくはなかったわけです。これには実は明確な理由がありました。この5月上旬というのは、アメリカにおける納税時期であり、納税のための換金売りが5月17日(月)あたりまで出ることが分かっており、それまでは株価が下がりやすいというアノマリー的需給環境があったのです。そしてその納税期限経過後は、反動で株価が上がるというアノマリーもまたあったのです。
つまり5月上旬のナスダックにおける下限上昇トレンドラインA’割れは、本格的な大暴落につながるようなWトップのチャートパターンの完成ではなく、単に納税資金捻出のための一時的な換金売りに過ぎないノイズであることが予見できたのです。そしてその通りに株価は反発してきて、今や最終レジスタンスと化した緑色のCラインブレイクアウトに再び挑戦しようとするまで上がってきたのです。しかしここからナスダック株価が反落してしまうと、今度はいわゆる『三尊天井』のチャートパターン完成の可能性が出てきます。
(●三尊天井については、渋谷高雄株式投資大百科第5章第11項等を参照)
反対にナスダックが今度こそ緑色の最終レジスタンスCを上方ブレイクアウトできれば、これまた前回で述べたことと同様にWトップ&三尊天井のチャートパターンの形成失敗となり、非常に強い買いシグナルとなります(俗称:「バスカヴィル家の犬」というパターン)。
あとは興味があるとすれば、日経平均先物が510円安(▲1.76%)の28420円という状態なわけなのですが、このあたりの値位置は上述の5月上旬のアメリカ納税換金売り局面以外では、3月4月に三度に渡って株価が反発してきた強力なサポートラインなのです。ここで黒田日銀がTOPIXETF買いを発動するのかどうかも重要な注目ポイントでしょう。そうなるとこれもまた前回の原稿で述べたことですが、今年の日経平均が2017年型のチャートに似てくるという予想の実現可能性が高まるからです。
あとは現在のマーケットにおける懸念材料として「金利」と「テーパリング」があるわけですが、金利については、金利急騰を恐れる機関投資家による債券ショートポジションが多くなりすぎて、どうやら需給関係でこれ以上上がりにくいという構図が見て取れるのです。例えて言うと、個人投資家による信用買い残が多くなりすぎて、株価が上がりにくいといった構図と言えばイメージしやすいでしょうか・・・
またテーパリングについても、これだけ事前に騒がれてしまうと、マーケットがテーパリングを早めに折り込んでしまうといった事態も想定しなくてはならなくなってしまう可能性が新たに出てきたのが悩ましいところです。そうなると金利も上がりにくくなってしまうわけで、前述の需給関係と考え合わせれば、今回のダウの10営業日連続陰線にリーマンショックやコロナショックのような世界同時多発的全面換金売りの初動の気配は感じられず、単に上がりにくい金利事情を背景としたバリューセクターからハイテク&グロースセクターへの物色動向の変化の予兆に過ぎないというのがメインシナリオになるわけなのです。
反対にサブシナリオが三尊天井のチャートパターン完成になります。
よって今週は、そのどちらの流れになりそうなのかを見極めるのが最大のテーマとなるでしょう。