質問
そこで、株式投資大百科を読み、損切ができるようになりたいと思っています。
昔から、損切できるように練習はしていたのですが、なかなかうまくできませんでした。
返答
損切りについては、大百科第8章や第9章で解説があります。
ところで、損切りについて理解を深めるために、別の角度から考えてみましょう。
S様がこの10年において、トレード手法とトレンドが一致していたことが結果プラスの大きな要因であったはずと最初のほうで述べましたが、極論になりますが、トレンドが続いている限り、その方向に沿ったポジションは、ある意味で損切りしなくてもいい、と言えるのです。どういうことでしょうか?
上記最初のほうの質問回答で、
【B】倒産が確実にならない限り、損切りはしない
とありますよね?
【A】安値をゆっくり拾っていき、上がったら売る
という投資手法において、この10年、特に後半の5年が上昇トレンドであったこと、そして資金管理を徹底していたことにより途中でふるい落とされなかったことで、結果的に損切りはしなくても良かったわけです。
ではもし、これとは正反対の行動を取っていたなら、結果はどうなっていたでしょうか?
「トレンドが続いている限り、その反対方向に沿って取ってしまったポジションは、損切りしなければ、いずれ必ず取り返しのつかない破局に見舞われる。まして、レバレッジを効かせてしまっていれば、なおさら」
こういう事態になってしまっていたことでしょう。
損切りしなくてもいい、というのは究極の理想論なのですが、そう判断できる人は相当な熟練レベルにまで到達しているはずなのです。
損切りポイントを設定したくない理由は、ノイズに引っかかったらバカらしい、ということに尽きると思います。つまり、
- このトレンドは、途中に多少の反転があったとしても、まだまだ続くと判断している
- 途中の多少の反転に巻き込まれても十分耐えられるように銘柄分散&資金管理を行っており、かつ資金余力も十分に温存させてある。反転で大きな含み損を抱えても、維持率がピンチになるような羽目にはならない
- 株で食わねばならないといったプレッシャーから解放された生活スタイルをすでに確立してあり、時間がかかっても利益確定できるまであえて損切りしないというトレードができる環境にある
最低限これら3点が確立できているという自信がなければ、損切りポイントをあえて設定しない、というトレードはできないのではないでしょうか?
そして、その熟練トレーダーは、今は損切りをしなくてもいいと判断できると同時に、本当に損切りしなければならない場面も判断できるはずなのです。その運命の時がやってきたら、その場面を見逃すことなく察知できて、損の金額の大小に関係なく損切りが執行できる実績と自信があるはずなのです。
つまり反対に考えれば、これらのことができない、もしくはできる実績と自信がない初級レベルのうちは、損切りをしないとならないわけなのです。
損切りができるようになるための方法論や心理的コツは先ほども述べたように大百科各該当章で述べていますが、本当に損切りしなければならないのは、トレンドと反対のポジションを取ってしまい、放置すれば取り返しのつかない破局になりかねない場面だと言えるでしょうね。
つまり少なくとも、大百科第4章で述べているようなマーケットサイクルやトレンドの方向、そしてトレンド転換点が判断できるように上達しなければ、損切りできるできないと論じるレベルに技術が至っていないわけです。マーケットサイクルやトレンドが判断できるようになれて初めて中級レベルに到達できたと言えるわけであり、そうなるまでは基礎の勉強をおろそかにしてはいけないのです。