トレードを検証することが経験となる

質問

お聞きしたいことは、株式投資大百科を読めば、

①正しい株式投資の練習方法が分かりますか?
渋谷様の著書(株の本)2冊を読みました。
出来高や、移動平均線、トレンドラインなど、5つの重要な内容は分かったのですが、そこからどうやって練習していけばいいかがピンと来ていません。
著書には、損益比率1:2になると思うところで株を買ってくださいと書かれていました。
自分が過去チャートで練習すると、そもそも出来高急増が分からない(急増しているように見えるところはいっぱいあり、そこで買っても株価は上がらない)
トレンドラインは引けるときは引けるけど、だましも多く、結局だまされる、移動平均も同じ。
という繰り返しで、どのようにしたらいいか迷っております。

返答

まず、最初にお断りしておかなくてはならないのですが、相場とは、
Q,分かりますか?
A,分かるようになります!
Q,できるようになりますか?
A,できるようになります!
Q,儲かりますか?
A,儲かります!
という断定調の回答ができない世界なのです、先ほど宅建資格を例にとりましたが、そうした確定的な約束、前提ができない世界であることも十分ご承知頂いた上で、私の回答を聞いて下さいませ。

ご質問を整理すると、基礎知識を理解してから先、

  1. どのようにしたらいいか迷っている
  2. どうやって練習していけばいいか分からない

以上2点についての対処を聞かれていると推察します。

まず最初の①についてですが、この大百科においては基礎知識の解説が第3章に設定されています。その前の第1章においては、私がピンチから脱出できたのがそうした基礎知識に立ち返ることができたためであることが具体的に述べられ、第2章においては、人がなぜか損に向かうように仕向ける相場の構造、特性、そしてそうなる人の心を理解させることに重点が置かれています。その上で第3章で基本知識の理解と習得を解説して、第4章以降で体系的に解説を続けて、最後はトレードシナリオを立てられるようになることを目標着地点として本書は編成されています。とにかくまず目指すべき段階とは、第4章のマーケットサイクル、つまり今のトレンドの方向を理解できるようになり、そして第8章のトレードシナリオが立てられるようになることなのです。それでようやく、試験の「自己採点」ができるようになると言えるのです。

この自己採点ができる段階になってようやく、技術上達の土俵に乗れると言っても過言ではありません。あるトレードがうまくいった場合、きちんと後から検証して、何が良くてうまくいったのかを把握し、次回以降も継続して己が血肉として技術確立する。うまくいかなかったら、その原因を分析し、次から繰り返さない、修正すべき点は修正していく。この作業を繰り返すことによって、着実に自分の技術を進化させていくのです。まさにこれこそが上記②の練習なのです。こうして経験を積んでいけば、過去の成功体験、失敗体験が過去問(大百科第2章と他にもいろいろな箇所で過去問というキーワードが出てきます)として蓄積されていきます。

例えば今回の技心研ホームページの株情報、4月9日分と5月8日分ですが、私も日々のマーケット分析の中で、「たしか過去に似たような場面があったような?」と思い出したのです。そしてその時のトレンドラインの引き方などの基礎知識の活用方法が成功体験として蓄積されていた。それを記憶の引き出しから持ってきて今回の参考としたことが勝利の原動力になったわけです。こうした自己採点という練習の繰り返しにより、私はいつの間にか、基礎知識がかなり正確に活用できるようになったわけです。