アーバン倒産株の一般口座損失計上

「週刊SPA!」の扶桑社 人物「三村雄太」誤認惹起行為、欺瞞的顧客誘引行為として提訴のご報告

【1】成績公開のところで、このように書きました。

2009年度の成績修正について
(アーバン倒産計上の税務署からの更正通知)

●更正通知書
ある日突然、税務署員さんがやってきて、2009年度確定申告の修正を要求されました。
税務署の見解としては、上場銘柄が倒産した時に、市場で売却せず紙切れになるまで持っていたものを損益通算する場合には、特定口座のみOKで、一般口座では認められません、というもの。正直、そんな制度になっているとは知らずに驚きました。

●臨場のお知らせ
一般口座と特定口座を税法上そのように恣意的に区別するのは、特定口座に誘導するために税法を利用してるんじゃないですか?と抗議しましたが、税務署員さんは「法律でそうなっているので従って下さい」の一点張り。しっくりこないので、納税の催促を何度かされても払わないでいたところ、家に押しかけます、との通知がこれ。仕方ないので払いました。

●異議決定書
納得いかないので、一度くらいは抵抗運動してみようと思い、弁護士にお願いして異議申し立てをしました。しかし予想通り棄却。それがこの異議決定書です。

●審査請求書収受の通知書
税務署から棄却されるのは想定していました。次の段階として、国税不服審判所に審査請求をお願いしました。その収受通知書です。

●面談のお知らせ
国税不服審判所に面談に行ってきました。

●今後について
今回の特定口座と一般口座の税法上の差別を間違っていると問いただすには、なんと、税法が憲法に反しており、その憲法違反を問うしかない、との事です。
そのためには、国を相手として憲法違反を問う裁判を起こすしか手段がなく、しかも過去に勝訴の例がないらしいのです。納得いかないのですが、そこまでするかどうか迷っています。
なぜなら私は現在、株式会社扶桑社、自称三村雄太、三村本担当ライター佐藤留美氏の三者を相手に、東京地方裁判所に5月頭に訴状を提出したばかりなので、今後は扶桑社らを相手にする裁判に全力投球したい気持ちが強く、国を相手にした裁判を同時に抱えることに気が乗らないからです。もう少し考えてみて、国を相手にするほうはやるかやらないか決めます。

【2】そして、審査請求をしてから1年、ようやく裁決書が送られてきました。

裁決書原文

【主な部分抜粋】
①3ページ下から9行目以降
なお、請求人の上場株式等の譲渡による所得の区分については、請求人から事業所得又は雑所得に該当する旨の主張又はそれを確認できる資料等の提出がなかったことから、譲渡所得として申告されたものと認定した。

②5ページ最後の行から6ページ4行目まで
(イ)まず、請求人における平成21年中の株式の譲渡がいかなる種類の所得の基因となるかについて検討するに、株式等の譲渡による所得が、事業所得若しくは雑所得に該当するか、又は譲渡所得に該当するかの判断方法については、所得税法第33条第2項第1号によれば、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかによって判定するものとされている。

③6ページ上から10行目以降
請求人は、短期間のうちに大量かつ多額の株式を売買して利益を上げようとしているものであり、明らかに営利を目的として株式の譲渡を継続的に行っていると認められる。したがって、請求人の平成21年中の上場株式等の譲渡による所得は、譲渡所得に当たらず、事業所得又は雑所得と認めるのが相当である。したがって、請求人の平成21年中の上場株式等の譲渡による所得は、譲渡所得には当たらず、事業所得又は雑所得と認めるのが相当である。

④7ページ上から12行目以降
以上によれば、上記2(2)のイからハまでの請求人の主張に関わらず、少なくとも本件取得金額は、請求人の上場株式等の譲渡による所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる。

⑤12ページの9項
9 措置法第37条の10《株式等に係わる譲渡所得等の課税の特例》第1項は、居住者が、平成16年1月1日以後に株式等の譲渡(金融商品取引法第28条第8項第3号イに掲げる取引の方法により行うものを除く。)をした場合には、当該株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(措置法第32条《短期譲渡所得の課税の特例》第2項の規定に該当する譲渡所得を除く。以下「株式等に係る譲渡所得等」という。)については、所得税法第22条《課税標準》及び同法第89条《税率》の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該株式等に係る譲渡所得等の金額として政令で定めるところにより計算した金額に対し、株式等に係る課税譲渡所得等の金額の100分の15に相当する金額に相当する所得税を課する旨規定している。

参考:短期譲渡所得の課税の特例(措置法第32条)

前項の規定は、個人が、その有する資産が主として土地等である法人の発行する株式(出資を含む。)又はその信託財産に属する資産が主として土地等である法人税法第二条第二十九号の三に規定する特定信託の受益権(次に掲げるものを除く。以下この項において同じ。)の譲渡で、その年一月一日において前項に規定する所有期間が五年以下である土地等の譲渡に類するものとして政令で定めるものをした場合において、当該譲渡による所得が、事業又はその用に供する資産の譲渡に類するものとして政令で定める株式又は受益権の譲渡による所得に該当するときについて準用する。

一 資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社であつて第六十七条の十四第一項第一号ロ(1)若しくは(2)に掲げるもの又は同号ロ(3)若しくは(4)に掲げるもの(法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当するものを除く。)に該当するものの資産の流動化に関する法律第二条第五項に規定する優先出資及び同条第六項に規定する特定出資

二 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十九項に規定する投資法人であつて、第六十七条の十五第一項第一号ロ(1)又は(2)に掲げるもの(法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当するものを除く。)に該当するものの投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二十一項に規定する投資口

三 特定目的信託であつて、第六十八条の三の三第一項第一号ロに掲げる要件に該当するもの(同項第二号イに規定する同族特定信託に該当するものを除く。)の受益権

四 法人税法第二条第二十九号の三イに掲げる信託であつて、第六十八条の三の四第一項第一号ロに掲げる要件に該当するもの(同項第二号イに規定する同族特定信託に該当するものを除く。)の受益権

【税理士の見解】
デイトレーダーの株式等の譲渡に係る所得が事業所得か雑所得に該当するか又は譲渡所得に該当するかは、「営利を目的として継続的に行われている否か」という実質基準で判定することとされているため、デイトレードに係る所得が事業所得に該当するケースもあります( 措通37の10-2 )。
株式等に係る譲渡所得等の金額は、「株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額の合計額」とされており(措法37の10)、たとえ事業所得や雑所得に該当する場合であっても税額の計算は申告分離課税として税率10%(国税7%、地方税3%)が適用となります。ここまでが税率のお話です。
では次に、所得区分の相違について考えてみると、事業・雑所得では必要経費が認められるけれども、譲渡所得では売買手数料等、株式等の取得価額に含めることができるもの以外は認められないという点が挙げられます。また、譲渡所得では上場株式等の取得費特例( 措法37の11の2 )の適用を受けることができるが、事業・雑所得の場合には適用を受けることができないです。このような相違はあるけれども、他の所得と損益通算できないことや税率などはいずれの所得区分であっても変わりはないということになります。
整理すると、事業所得だから高い税率というのではなく、株式等の譲渡に係る所得は事業・雑所得or譲渡所得→事業所得→必要経費は引いてOK→税率は、株式等の譲渡等なので申告分離課税で10%

【国税局の判定】
請求人の上場株式等の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得と認めるのが相当であり、よって本件株式が株式としての価値を失ったことによる損失を、必要経費に算入して問題はない。

【3】雑感

正直、ダメもとでぶつけた不服審査で、まさか勝てるとは思っていませんでした。
最初は信じることができず、この裁決書を読んだ時、思い違いすらしたものです。
これまでの確定申告では譲渡所得税率10%として申告していたものを、こんどは事業所得又は雑所得と計算し直して、再度、税務署さんが最高税率で追徴にやって来るのではないか?と恐怖しました。
もしそうなれば、これまでの株式譲渡益約5億円で納めた税金が10%の5000万円。それを仮に最高税率が40%で計算し直されたら、残り30%分、1億5000万円を追徴してくるのが、国税と税務署の本当の狙いなんじゃないの?と思えたのです…。
でも、12ページ9項と税理士見解を読んで、ほっとしました。
勝利の前例がない日本国憲法違反を問う裁判を、やらずに済みました(笑)
それにしても、お上は個人投資家の取引詳細をよく見て、きちんと分析していることを改めて思いしらされましたよ。4ページの認定事実イロハや、6ページの上から5行目以降を見れば、本人よりも詳しく把握しているくらいだ、と驚きました。
アーバン株の個別取引状況も、別表2と4に記載されているように、証券会社から全内容を教えてもらったようです。
官公庁が職権を発動して、証券会社に個人投資家の情報の開示を求めれば、証券会社さんもしっかり応じて、取引内容を全部提出するものなんですね、分かってはいましたが、やっぱり悪いことはできないですね(笑)
ま、このアーバン倒産株については、現在、裁判で係争中の三村雄太さんも手を出して、痛い目に遭われたようですね。SPAさんの連載記事から、そのまま転載すると、
「今月はヤラレちゃいましたよ。アーバンコーポレイションに。なんと、トータルでおよそ1億6200万円も!! 損失を確定した取引でここまで大損ぶっこいたのは、さすがに初めてで、ちょっと頭にきてます。」
「ワクワクで参戦したのが8月7日。うっかり、平均103円で、150万株も買っちゃったのです。」
「ところが11日、80円台にまでズドンと急落。結局、平均85円で50万株。平均75円で100万株損切りし、ヤラレたわけです。」
「結局15日、9円で100万株、7円で99万株を売り、損失確定した次第・・・。」

そういえば、私と三村さんは、主に使用している証券会社が楽天証券とSBI証券で、偶然にも一緒なんですよねえ。
扶桑社さんは、法的回答義務があるにもかかわらず、今のところ個人情報保護を言い分けに、三村雄太さんがどこの誰かの開示を拒否されています。
しかし、裁判所や消費者庁が、国税不服審判所が私のことを探ったように、「アーバンでこういう売買したのは、どこの誰?該当者いるの?いないの?」 このように聞いて下されば、大変ありがたいのですが。
こういった規程もあるくらいですので。

「日本雑誌広告協会 雑誌広告掲載基準(社団法人日本雑誌広告協会) P128
景品表示法4条2項に基づき、消費者庁長官は、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる」
消費者庁からの照会請求を拒否したら、即クロ、と断定されてしまうのですね、やはり公的機関の力は強いのだと実感。

(終わり)